逆流性食道炎を予防するためにも、夕食時間を早め、就寝3時間前の食事を控えることが重要になるのです。

 現代のさまざまな生活習慣病の重要な原因の1つは、夕食の摂食時間が遅いということで、夜遅くの食事は百害あって一利なしです。

 ただ、睡眠不足の問題と同様で、働く人の夕食時間の問題を解消するためには働き方改革の必要があると考えます。高齢になり、社会的役割から解放されたら、ぜひ夕食時間を午後6時から7時に設定して、毎日ほぼ一定の時刻に食べることとし、健康を維持していただければと考えます。

大企業が取り入れた
「朝型勤務」の効果

 長時間労働から生じる夜遅くの食事、睡眠不足、朝食の不足はさまざまな形で私たちの健康障害につながっています。これは、個人の日常の努力だけでは改善できないため、筆者は以前より長時間労働をできるだけ減らし、他の先進国並みの労働時間に改善する必要性を感じていました。

 では、いったいどのようにして、働く人たちの夜遅い食事時間を早くし、睡眠時間を確保すればいいのでしょうか?

 いろいろと考えていたのですが、なかなか名案は浮かびませんでした。残業を禁止し、夜早く退社するといった法律をつくればよいのでしょうが、そんなことは不可能に決まっています。

 そのようなことに悩んでいた2013年の暮れ、ある記事が目に飛び込んできました。それは、日本を代表する総合商社であるI商事が働き方改革として朝型勤務を取り入れるという記事でした。その朝型勤務のポイントは、次の3つです。

(1)20時以降の勤務の原則禁止
(2)早朝勤務への割増賃金支給
(3)8時前に始業した社員に朝食を無料配布する

 私自身、長時間労働の改善のポイントはまず夜遅い勤務を禁止することが最も重要と考えていましたから、このI商事の朝型勤務に非常に魅力を感じました。

 この朝型勤務で、少なくとも夕食の時間は早められ、うまくいけば睡眠時間の増加が期待できる勤務形式と考えました。