
毎日忙しく働いていると、夕食の時間は遅くなりがち。だが、夜遅い食事は肥満をはじめとした生活習慣病を招くだけでなく、心臓や消化器にも悪影響を及ぼすという。やはり大切なのは、生活リズムを整えること。ある大企業での実例も交えて、そのヒントを紹介していこう。※本稿は、塩谷英之『睡眠・食事・運動で変える 24時間のリズム習慣』(メディカル・ケア・サービス)の一部を抜粋・編集したものです。
夕食の時間は
なるべく早くする
「夜遅い食事、あるいは間食」をするという食習慣は、糖代謝などさまざまな代謝障害を引き起こすことが明らかになってきています。
いくつかのネズミによる実験で、活動期にのみ食事を摂食する群と、1日中自由に摂食できる群では、同じカロリーを摂食しているにもかかわらず自由に食事を摂れるネズミは肥満し、血糖値なども上昇することが報告されています。
一方、活動期にしか摂食できないネズミは肥満や代謝障害が抑えられました。
活動期にのみ摂食する群は肝臓などの消化器系の末梢時計のコサインカーブ(編集部注:体の毎日のリズムにおいて、周期的に波打つように描かれるカーブのこと)がメリハリのついた正常なコサインカーブを示しました。一方、1日中だらだらと摂食する群は、コサインカーブのメリハリが小さくなってコサインカーブが崩れ、体重増加やさまざまな代謝障害が引き起こされたと考えられます。
夜間遅くの食事による脂肪の蓄積すなわち肥満、さらにメタボリックシンドロームの発症を予防するには、特に夕食の時間が重要です。
メリハリのある食習慣のためには、活動期に摂食を制限し、夕食をなるべく早い時間に摂ることです。
つまり、朝7時に朝食を食べたら、できれば12時間後の夜7時に夕食を摂り、その後は朝食まで絶食するといった様式です(水分は摂取しても構いません)。
もちろん、働く人が毎日夜7時に夕食を食べるのは難しいですが、なるべく早く夕食を摂食することが望ましく、少なくとも午後9時には夕食を終わることが望ましいと考えます。