正しいマナーに関しては、現在は暗黒時代だ。調査によると、米国では人々は職場でますます無礼になり、「プリーズ(お願いします)」という一言さえ嫌がる。ドライバーはすぐにクラクションを鳴らし、恋人は突然音信不通になり、食事客はチップを減らし、子どもたちは「相手の目を見なさい」という言葉を聞いて不安を感じている。一部の米国人は、礼儀作法を無視することを個人ブランドにしている大統領を参考にしているようだ。だが、希望もある。エチケット指南の市場が活況を呈しているのだ。企業が従業員にオフィスへの復帰を義務付けたことによって、キャリアの最初から「スラック」や「ズーム」が当たり前だった若手社員の対人スキルが著しく不足していることが明らかになった。大学生を対象にした調査サイト「インテリジェント・ドット・コム」の2024年の調査によると、経験が浅い従業員に顧客対応や適切な服装(チューブトップやガチャガチャうるさいバングルは避ける)について指導するプロを雇っている米国企業の割合は半分を占める。また、履歴書作成サービスの「レジュメビルダー」が23年に実施した調査では、企業幹部の10人中6人近くが、従業員に「丁寧な会話をするテクニック」を教えるためにエチケット講習を義務付けていると回答した。