鉄鋼関税引き上げ、米国の缶詰価格に波及へ鉄鋼関税でスチール缶入り缶詰の小売価格は9~15%値上がりすると、業界団体は予想している Photo:Nic Antaya for WSJ

 米国で売られているスープやブラックビーンズ、パイナップルのスライスは全て、もうすぐある理由で値上がりするかもしれない。その理由とは、容器の缶だ。

 食品用の缶には、溶融鉄から作られた極薄のスズめっき鋼板(通称ぶりき)が必要だ。米国ではメーカーがこうした鋼板の生産を縮小しており、生産量は多くない。

 キャンベル や ホーメル・フーズ 、デルモンテ・フーズなどが加盟する業界団体、消費者ブランド協会(CBA)によると、トランプ政権が 鉄鋼製品への関税を50%に引き上げた ことで、スチール缶入りの食品の店頭価格が9~15%上昇する可能性がある。1個2ドル(約290円)の野菜の缶詰なら、18~30セント(約26~43円)値上がりする計算だ。

「米国の消費者は缶により多くの金を支払うことになるだろう」。トリビアム・パッケージングの戦略担当バイスプレジデント、ダン・ディートリック氏はそう指摘した。

 トランプ大統領は4日、鉄鋼製品に課す関税をそれまでの25%から50%に引き上げた。安価な外国製品の価格をより高くすることで、国内製品への需要を増やすことが目的だ。関税引き上げを受けて米国のメーカーも値上げに動いているため、国産の鉄鋼の価格も上昇しそうだ。