Photo:Kuninobu Akutsu、Katsumi Murouchi/gettyimages
就職氷河期世代は、不遇な世代として語られることが多い。だが、統計データを丹念に見ると、実態は一様ではない。厳しかったのは氷河期世代だけなのか、少子化との関係は本当に強いのか。特集『ベスト経済書2026』(全10回)の#6では、『就職氷河期世代』の著者で、自身も氷河期世代の近藤絢子・東京大学社会科学研究所教授にその実像を解説してもらった。(構成/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
統計で客観的に捉え直す
「就職氷河期世代」の実像
就職氷河期世代の実態について、統計データに基づいてなるべく客観的に把握しようと試みた本です。「就職氷河期世代」という言葉からどの世代をイメージするのか、人によって幅があると思いますが、本書ではバブル景気崩壊後の不況期、具体的には1993年から2004年に高校や大学を卒業して社会に出た世代と定義しています。
近藤絢子(こんどう・あやこ)/1979年生まれ。2001年東京大学経済学部卒業。09年米コロンビア大学大学院博士課程(経済学)修了、Ph.D.。大阪大学講師、法政大学准教授、横浜国立大学准教授を経て16年東京大学社会科学研究所准教授、20年より教授。専門は労働経済学。23年日本学士院学術奨励賞受賞。共著に『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』(慶應義塾大学出版会)、『日本の労働市場』(有斐閣)。 Photo by Hiroyuki Oya
執筆の直接のきっかけは、19年に政府が就職氷河期世代支援プログラムを打ち出し、社会的な関心が高まるとともに、実態とは異なるイメージ先行の報道がなされているように思って、いま一度きちんとデータを確認してみようと思ったことです。
私自身も就職氷河期世代で、そのことが労働経済を専攻する動機でもあったのですが、本書ではなるべく個人の経験によらずに客観的な統計で示すことを心掛けました。
就職氷河期世代を巡る議論は、個人の経験や印象に左右されやすい。次ページでは、氷河期世代は決して一様ではないことなどを近藤教授が客観的なデータに基づいて解き明かし、その実像に迫る。







