スマホ・テレビ・ゴシップ……日常生活の99%はムダだらけ。しかし、ムダを捨てるためにいくら効率を良くし、生産性を上げても、他人の期待に応えているだけで、自分のためになっているわけではない。「依存のプロ」GoogleとYouTube出身の著者が生み出した、自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」とは? 27言語で刊行され、世界で累計30万部を突破している『とっぱらう――自分の人生を取り戻す「完璧な習慣」』より、特別に一部を紹介する。

グーグル流、最速仕事術
ジェイクはグーグルにいたとき、「スプリント(デザインスプリント)」という手法を生み出した。
スプリントは、緻密にデザインされた1週間の仕事術だ。チームで5日間の予定を全部キャンセルして、最初に決めた活動のチェックリストに沿って、毎日たった1つの問題に集中して取り組む。
この手法は僕らにとって、時間をデザインする初めての取り組みで、大いに成功した。
スプリントはまたたく間にグーグル全社に広まった。
「スプリント」をしてわかった4つの教訓
2012年にはグーグル・ベンチャーズの投資先のスタートアップとともにスプリントを行うようになり、その後の数年間で150回以上のスプリントを行った。参加者はプログラマーから栄養士、CEO、バリスタ、農家の人まで、1000人近くに上った。
僕ら時間オタクにとって、これは夢のような機会だった。
1週間を何度もデザインし直し、スラックやブルーボトルコーヒー、ウーバーといったそうそうたるスタートアップの優秀なチームから学ぶことができた。
メイクタイムの基本原則の多くは、このスプリントでの発見にヒントを得ている。
1:毎朝、最優先目標を決める
僕らがまず最初に学んだ教訓は、「1日の初めに優先度の高い目標を1つ決めると、魔法が起きる」ということだ。
スプリントでは毎日、チームで1つの大きな問題に集中する。
月曜日に問題の「マップ」を作成し、火曜日に各メンバーは問題の解決策を「スケッチ」する。水曜日にはベストな解決策を「選択」し、木曜日にその「プロトタイプ」(試作品)を作成し、金曜日に顧客にそれを「テスト」してもらう。
各曜日の目標は手ごわいが、たった1つだ。
この焦点のおかげで、やるべきことが明確になり、モチベーションが上がる。
手ごわいが頑張れば達成できる目標を1つ決めると、1日が終わるころにはやり遂げている。目標をチェックしてリストから外し、仕事のことを頭から追い出して、充実した気持ちで家に帰れるというわけだ。
2:「デバイス禁止」で仕事の質が変わる
スプリントで学んだ2つめの教訓は、「デバイス禁止にすると仕事がはかどる」ということだ。
僕らはルールを決める側だったから、ラップトップやスマホなどのデバイスを禁止にして、めざましい成果を挙げた。
メールなどの無限の泉のたえまない誘惑を遠ざけると、全員が目の前の仕事に100%の注意を向け、デフォルトが「集中」に切り替わった。
3:集中には「エネルギー」が必要
3つめの教訓は、「集中して仕事に取り組み、明晰な思考を保つには、エネルギーが重要」だということ。
スプリントを開始した当初、チームは甘いものでエネルギーを補給しながら長時間働いていたが、週も後半にさしかかるとエネルギーレベルが急低下した。
そこで僕らはやり方を試行錯誤し、ヘルシーなランチや短い散歩、頻繁な休憩、時間の短縮といった工夫が、エネルギーレベルを最大に保ち、その結果として優れた仕事を効率よく行うのに役立つことを学んだ。
4:「実験」すればするほど時間が生まれる
4つめに、こうした実験を通して、そう、「実験の力」を知った。
「実験を通してプロセスを改善」し、いろいろな工夫の結果を自分の目で確認したからこそ、自分のやり方について、他人の実験結果をただ読むだけでは絶対に得られない、ゆるぎない確信をもつことができた。
「スプリント」はチームで1週間かけて行うが、個人も同様に毎日をデザインし直せるはずだと、僕らはすぐに気づいた。こうして学んだ教訓が、メイクタイムの土台になっている。
もちろん、完成までには紆余曲折があった。
「多忙中毒」と「無限の泉」に呑まれることもまだあった。僕らが開発した戦術には、習慣として定着したものもあれば、失速して失敗したものもあった。
それでも日々の結果を検討するうちに、つまずく原因がわかってきた。また実験的手法をとったことで、失敗しても自分に優しくなれた。失敗はデータとして活用できるし、明日またやり直せばいい。
つまずきはしたが、メイクタイムはもちこたえた。
僕らはかつてないほどエネルギーにあふれ、頭に余裕が生まれ、おかげで「いつかやりたい」と思いながらできずにいた大きなプロジェクトにとうとう着手することができた。
(本記事は、ジェイク・ナップ ジョン・ゼラツキー著『とっぱらう――自分の人生を取り戻す「完璧な習慣」』からの抜粋です)