ワースト3位:「観光客は立ち入り禁止だ」現地人の忠告を無視、筆者を待ち受けていた「予測不能の恐怖体験」

 ピラミッドを見てみたかった。往復航空券は諸税込みで、破格の8万円代。大学時代の男友達と2人、テンション上げ上げでエジプトへ向かった。

 ピラミッドの入場ゲートの隣には、民家らしき建物が軒を連ねていた。ものすごく興味が湧いた。人気がほとんどないことも冒険心をくすぐった。ラクダに乗った人が出入りしているので、誰もいないということはなさそうだ。

人生で一度は訪れてみたかったエジプトのピラミッド(提供=筆者)人生で一度は訪れてみたかったエジプトのピラミッド(提供=筆者)

 威風堂々とそびえ立つピラミッド観光を後回しにして、私たちは民家らしき建物の奥へ奥へと進撃をすることにした。

 だけど早々に、30代くらいの男性に止められた。その男性からは「ここから観光客は入ったらダメだ。戻りなさい」といった説明を受けた。

 男性の警告を無視して、私たちはその歩みを止めなかった。するとその男性は、ナイフを取り出した。その男性とは10メートルくらい距離が離れていた。晴天だったこともあり、ナイフの刃が太陽光と反射して、ギラギラと輝きを放っている。

 こ、これはヤバイぞ……。

 その男性は、私たちを睨みつけながら、ナイフを握りしめた状態で立ち止まっている。こちらに近付いてくる気配はなさそうだが……。ここは早々に立ち去るのが正解だろう。

 私は友達に「も、戻ろうぜ」と提案した。ところがどっこい。その友達は、近くにいたラクダの動画撮影に夢中だった。ナイフ男の存在に気が付かず、「もうちょっと待って」と言い出す始末……。

エジプトの道路の様子こんな感じの道が広がっていた(提供=筆者)

 私は引きつった笑顔で、片手を上げながら、ナイフ男に向かって「ソーリー!」と伝えた。けれどナイフ男からは、何のリアクションもない。

 私は友達の腕を強引に引っ張りながら、ナイフ男に再び「ソーリー!」と伝えた。そして視界にナイフ男に捉えた状態で、反転。もと来た道を戻った。

 結局、ナイフ男に特に何かをされることのないまま、私たちは人通りの多い場所に戻ることができた。もしかしたら「脅すこと」が彼の目的だったのかもしれない。とにかく、現地の人にダメと言われたことには素直に従うこと、ひと気のない場所には立ち入らないほうがいいことを、私は胸に刻んだ。