「全社員に買って配りました」
「入社する人への課題図書にしています」

そんな声が多数寄せられているのが、書籍『ベンチャーの作法 -「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術』です。1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験がある高野秀敏さんが、ベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめました。
シーリングライト一体型プロジェクター「popIn Aladdin」や、世界的ヒットとなった「スイカゲーム」の開発者であり、現在はヘルスケアベンチャーに挑む起業家・程涛さんも、本書に共感した読者のひとり。同氏からお聞きしたベンチャー企業のリアルや、『ベンチャーの作法』からの気づきを、数回の記事に分けて紹介します(ダイヤモンド社書籍編集局)。

天才起業家が「全社員に配ったビジネス書」で伝えたかった、たった“3つの教え”とは?Photo: Adobe Stock

「ベンチャーって、こういうもんなんだよ」と社員に伝えたかった

――書籍『ベンチャーの作法』をお読みになって、いかがでしたか?

 全部、共感でしたね。

 僕は修士2年のときに起業したので、就職経験がないんです。なんだかんだ、もう15~16年くらいは経営をしています。

 その経験をふまえても、「まったくそのとおりだな」と思う内容が多かった。

 とくに「仕事の優先順位」の部分は、自分の中でも明確にできていませんでした。だから、何よりもまず“結果”を大前提に考えましょうというスタンスが言語化されていたのは、すごく納得感がありました。

――この本を、社員の皆さんにも紹介されたと聞きました。

 そうなんです。最初は僕がFacebookで見かけて読んだんですが、「これは社内のメンバーにも知ってもらいたい」と強く思いました。

 正直、弊社には「自分たちがベンチャー企業にいる」という実感が薄いメンバーもそれなりにいるので、「ベンチャーってこういうもんなんだよ」と、ちゃんと伝えたかったんです。

ビジネス書はたくさん読んできたけれど、「こんな本」はなかった

 ただ、僕から全員に「この本読んで」と言ってしまうと、どうしても押しつけっぽくなってしまう。それは避けたかった。

 そこで、まずは一部のメンバーに薦めて読んでもらい、その人たちに社内の勉強会で紹介してもらうようにしました。

 弊社では毎週月曜に、全社員が参加する定例ミーティングがあります。その最後に「本を紹介しあうコーナー」があって、資料やAmazonの商品ページのリンクを共有したりしています。『ベンチャーの作法』も、そこで紹介してもらいました。

 弊社のメンバーは読書習慣のある人が比較的多いですし、僕自身も週に1~3冊は読んでいます。とくに自己啓発書やビジネススキル本はよく読みます。

 それでも、「経営者として社員にこうあってほしい」という気持ちを、ここまでしっかり言語化してくれている本は『ベンチャーの作法』が初めてでした。

 しかも“ベンチャー”という文脈に特化している。そういう意味でも、他に代わる本が思い浮かびません。

社員に伝えたい「3つのこと」

――社員の方々にとくに伝えたかったのは、どういった内容ですか?

 とにかく伝えたかったのは、次の3つです。

 1つ目は、「結果がすべてである」ということ。
 2つ目は、「ベンチャーでは状況が常に変化していく」ということ。
 3つ目は、「落ちたボールは自分で拾う」ことの大切さ。

 この3つのマインドセットを、繰り返し伝えていこうと思っています。1回の共有で全員がすぐに行動を変えることは難しい。でも2回、3回と伝えるうちに、確実に変化は起きてくると思うんです。

 実際に、セールスメンバーを中心に、社内での発言に「結果」という言葉が増えてきたと感じています。
 言葉が変わると、意識が変わる。意識が変わると、行動も変わる。そう信じて、今後もこの本を起点に、何度も何度も伝えていこうと思っています。

天才起業家が「全社員に配ったビジネス書」で伝えたかった、たった“3つの教え”とは?程涛(てい・とう)
issin代表取締役CEO
2008年、東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻の修士課程在学中に、研究成果のpopIn(ポップイン)インターフェースを元に、東大のベンチャー向け投資ファンドの支援を受けて、popInを創業。2015年に中国検索大手のBaiduと経営統合、2017年に世界初の照明一体型3in1プロジェクター popIn Aladdin(ポップイン アラジン)を開発し、異例のヒット商品となった。2021年issinを創業、スマートバスマットを商品化。2022年、popIn代表を退任。

(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』に関連した書き下ろしです。書籍では「なにがあっても結果を出す人の働き方」を多数紹介しています。)