超知能AI、当面は世界を支配せずPhoto:Justin Sullivan/gettyimages

 昨今、人工知能(AI)分野のリーダーになるための主な要件は、デジタルの救世主、すなわちスーパーインテリジェント(超知能)AIの到来を告げる預言者となることだ。

 アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)、グーグル・ディープマインドのデミス・ハサビスCEO、オープンAIのサム・アルトマンCEOにとって、自社のAIが最高だと主張するだけでは不十分だ。3人は最近、AIが非常に優れたものとなって社会の構造そのものを変えると主張している。

 メタ・プラットフォームズでさえ――同社の最高AI科学者はこうした議論を一蹴してきたことで有名だが――この流れに乗ろうとしている。同社は、マーク・ザッカーバーグCEOのAI超知能の夢を実現できる新たなAI部門のリーダーを迎えるため、140億ドル(約2兆円)を投じることを認めた。AI超知能とは人間より賢いAIのことだ。

 アルトマン氏は今月発表したエッセーで「人類はデジタル超知能の構築に近づいている」と宣言し、これにより「多くの職種が消滅」し、「新たな社会契約」が生まれると指摘した。これらはAI搭載チャットボットがホワイトカラーの仕事を引き継ぎ、AI搭載ロボットが肉体労働を担うようになることの結果だという。

 アレクサ(アマゾン・ドット・コムの音声アシスタント)に失礼な態度を取ったことを心配する前に、知っておくべきことがある。最新のAIを開発・研究・使用する人々の間で、そうした主張に懐疑的な声が高まっているということだ。