「この本のおかげで出世できた」「チームのパフォーマンスが上がった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。今回は、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「今の若手って難しくないですか?」と聞かれたとき、頭のいい上司はどう答える?Photo: Adobe Stock

「若手は難しい」という雑なくくり

 管理職同士の雑談やマネジメント研修などで、「今の若手って難しくないですか?」という問いが出ることがあります。

 しかし、この問いに安易に同意すると、世代への先入観やレッテル貼りを助長し、組織の柔軟性を奪ってしまう危険があります

 優れた上司はこのような質問に対して、感情や偏見ではなく、構造的に答える視点を持っています。

頭のいい上司の答え方

「難しいかどうかで言えば、“前提が変わっている”だけだと思います」
「価値観や動機づけの構造が違うから、昔と同じやり方では伝わらないという話ですね」

 このように、世代論ではなく環境の変化や情報の流通による違いとして位置づけることで、不要な対立構造を避けることができます。

 ポイントは、「若手」という抽象的なくくりではなく、個別の傾向や背景を丁寧に捉えることです。

難しさではなく“設計のズレ”を修正する

「指示が伝わらない」「意図をくみ取ってくれない」と感じるとき、問題は部下にあるのではなく、マネジメントの設計が時代に追いついていない可能性があります。

・言語化されていない暗黙知の多さ
・対話の頻度やフィードバックの方法
・キャリア観や承認欲求の変化

 これらのズレを認識せずに「難しい」とまとめてしまうと、改善の糸口を見失ってしまいます。

相手を理解しようとする姿勢こそ信頼

 若手世代が求めているのは、「甘やかし」ではなく、「納得」です
 命令や管理ではなく、対話や背景の共有を通じて、自分の役割を理解したいと感じているのです。

 だからこそ、まずは相手の言動の背景を仮説立てて捉える姿勢が必要です
 難しいのではなく、“解像度が必要な時代になった”と考えることが、本質的な対応策につながります。

仮面をかぶって、世代論から距離を置く

 世代の違いに苛立ちを覚える瞬間は、誰にでもあります。
 しかし、そこで自分の価値観をぶつけるのではなく、仮面をかぶって冷静に距離を取り、構造的に捉えることが、リーダーに求められる姿勢です

「若手が難しい」のではありません。時代が変わっただけ
 その変化に対して、どう適応するかが、上司の腕の見せどころです。

(本稿は、リーダーの仮面の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計173万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。