「もはや“頭の良さ”に意味はありません」
最近、仕事で「考える」ことが増えていませんか? 新商品やサービスの企画。販売や宣伝の立案。マネジメント、採用、組織運営の戦略など。従来の方法が通用しなくなったいま、あらゆる仕事で「新しく考える」ことが求められます。でも、朝から晩まで考え続けた結果、何も答えを得られずに1日が終わる――そんな経験のある人が多いのでは。
「その悩み、一瞬で解決できます」。そう語るのは、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなどを含む600社以上、のべ2万人以上に発想や思考の研修をしてきた石井力重氏です。古今東西の思考法や発想法を駆使して仕事の悩みを解決してきた石井氏ですが、なんとAIを使えば誰でも素晴らしい発想ができると言います。そのノウハウをまとめたのが、書籍『AIを使って考えるための全技術』。この記事では同書から、「面白い考えが見つかる」方法を紹介します。

【便利すぎる】「仕事がめちゃくちゃ速い人」がやっている、一瞬で“頭のいい考え”を生み出す方法Photo: Adobe Stock

じつは「創造力」は高めることができる

 創造力を意図的に使うなんて自然にはできない。限りない実践を通じてのみ、獲得することができるのだ。

 そう考える人も少なくありませんが、古今東西の研究者たちが積み上げてきた成果によって、「連想力―想像力―創造力」の関係性が明らかになりつつあります。それが、この考え方です。

 創造的な力は、創造的な想像力による。
 想像力は、その中核に連想力がある。

 創造力を発揮するにいたる源泉に、連想力がある。この構造は、私たちに希望を与えてくれます。なぜなら連想力は意図的に発揮できるスキルだからです。
 連想力を自在に扱えるようになれば、想像力が豊かになる。そして最終的には創造力の発揮につながるのです。

連想力を発揮させるための型
「連想の四法則」

 では、創造力の源泉である連想力は、どのようにしたら身に付けることができるのでしょう。そのための考え方を、1950年前後に、アイデア発想の実践家であるアレックス・オズボーンが「連想の四法則」として言語化しました。それは、下記のとおり。

 接近…対象の“近くにある”ものはなんだろう?
 類似…対象と“似ている”ものはなんだろう?
 対照…対象と“何かしらが反対である”ものはなんだろう?
 原因結果…対象が“生み出す”もの、対象を“生み出す”ものはなんだろう?

 この4つの連想技を使えるようになることが、私たちの連想力、そして創造力を高めてくれます。

AIの力を借りて連想する技法
「関連する要素」

「連想の四法則」は誰もが獲得可能な技ですが、そうはいっても、コツをつかむまでには時間がかかるもの。

 そこで、AIの力を活用します。
「連想の四法則」を使って連想する作業をAIにアシストしてもらえるのが技法「関連する要素」です。AIにお題を投げて、そこから連想する言葉を瞬時に生み出してもらいます。

 そのプロンプトが、こちら。

<AIへの指示文(プロンプト)>
〈課題や目的を記入〉
 この問題から連想できる単語を30個あげ、次に関連が薄くてもいいので連想できる単語を100個あげてください。

 プロンプトでは4つの法則にはあえて触れていません。「AIに連想の概念がわかるの?」と疑問を感じる人もいるかもしれません。たしかに「連想」とは、やや抽象的な概念ですが、私がこの技法を開発する過程で検証していったところ、驚いたことにAIはすでに「連想の四法則」をある程度マスターしていることが確認できました。

 ちなみに、AIはプロンプトの指示に忠実であろうとする傾向があるため、手練れのアイデアパーソンが自然と行う「直接的な関連度が少ない連想」は少々苦手です。プロンプトに「関連が薄くてもいい」のフレーズを追加しているのは、この点を補足するためです。

 そして四法則による連想をしっかりカバーするために、30個、100個と出力数を多く指示しているのもポイント(出力数の指定を決定するまでにも試行錯誤しています)。時間的には人間が100個考えるより圧倒的に早く出力しますから、まさに人間の発想をサポートしてくれるわけです。

 この技法で手にできるのは、あくまでも単語群。でも、のべ130個の連想ワードがあれば、あれこれとアイデアが出てくるのが人間の不思議なところです。私たちは「きっかけさえあればアイデアを出せる生き物」なのでしょう。

「スマートウォッチ」の活用法を考えてみよう

 では、実践してみましょう。
 仕事上のタスクとして提示されたお題。ときに「む? 馴染みがないな」「考えたことないな」と戸惑ってしまうこと、ありますよね。所有したことがないモノや、参加したことのないイベント、行ったことのない外国や観光地。プライベートならそのままスルーでもかまいませんが、仕事となるとそうもいかない。AIの連想力を借りたい場面です。

<AIへの質問>
 〈スマートウォッチの活用〉
 この問題から連想できる単語を30個あげ、次に関連が薄くてもいいので連想できる単語を100個あげてください。

 時計としての機能を凌駕したスマートウォッチが世に出てからだいぶ経ちます。買ったことがない人、持っているけど歩数計付き腕時計としての利用だけであんまり活用できてないな、という人もいるでしょうか。なにか活用方法としてアイデアがないか。連想を拡げてみましょう。