「信頼を積み上げる方法」はそんなに多くない

――「苦手に向き合う」ということが大事なんですね。

びーやま:そうです。

 なので、人によってはそれが勉強でしょうし、別の人にとっては学校の活動かもしれません。

「委員会とかダルいよね」とかも、やりたくないけどやらなければいけないことです。そこで手を抜く生徒がどうやって信頼を勝ち取れるのでしょうか。

――苦手を積み上げないと信頼が得られないと。

びーやま:僕はそう思います。少なくとも今目の前の勉強も頑張れない人が、どうして未来で頑張れると言えるのでしょうか。

 未来は「今の積み重ね」からできているので、今のこの瞬間も苦手とはしっかり向き合わなければいけないわけです。

 加えて、高校での勉強や大学受験は範囲が決まっています。正解もあります。まだない答えを追い求める本物の学問とは違うわけです。その意味では、学校での勉強はそういった「たくましい精神」を育む機能も持っていると思います。

――なるほど。たしかに信頼を勝ち取るのは簡単なことではないですよね。

びーやま:そうなんです。

 でも、勉強は嫌いだけどちゃんと取り組んでいる学生ってそれだけで、信頼できるじゃないですか。「この子は苦手なことにもちゃんと向き合える子なんだな」と。

 加えて、「僕はどんなことも頑張れる人です!」ってどんなに口で言ったって、その証明がなければ口だけ扱いされてしまうのが世の中です。そのときに、偏差値でも成績表でも、「ちゃんと数値化された努力」を見せることができるのは大きいですよね。社会はそういったわかりやすい指標で人を判断するようになっていますから。

 その意味では、なにも全員が東大行けとか、早慶レベルまで勉強ができないといけないとかってことではなくて、その人にとっての苦手にちゃんと向き合えていればそれは素晴らしいことだなと。

 たとえばですけど、「数学が本当に苦手なんですけど」という学生が数学の偏差値を50まで上げたらそれってすごいことじゃないですか。ただの「偏差値50」とは全然意味が違うと思うんですよね。