みんなが思い思いに好きなことを話すので、どんな話題が飛び出すかわかりません。これは、いつしか「闇鍋会議」と呼ばれるようになりました。

 闇鍋会議では、「そもそも万博とは何か」といった、万博の定義や意義についても話し合い、「これだけお金をかけて開催する必要があるのか?」といった万博自体を疑問視する声も出ました。

 実際、大阪・関西万博については招致の段階から否定的な声もありました。環境問題などもあり、すでに20世紀後半には市民の反対で中止になるケースもありました。古くは国威発揚の場であり、それはとうに時代遅れになっています。それどころか「植民地博」や「人類館事件」のような、信じられないような差別的なことも過去にはあったのが万博であり、決して“良い”歴史だけを背負ってはいない。私たちはそのこともしっかり頭に入れて歩むべきだと考えました。

「それでも、今、万博をする意味は何か」「万博のテーマ事業プロデューサーとして何ができるのか・なぜ引き受けるのか」「万博の“成功”とは何なのか」と改めて根本を突き詰め、万博の新たな在り方を模索していったのです。

 万博といって、多くの日本人がまず思い浮かべるのは1970年の大阪万博でしょう。

 1970年万博は、今も伝説として語られるほど大成功を収めました。6400万人の来場者数は、21世紀の上海万博までは万博史上最高を誇りましたし、70年万博を訪れた多くの方が、当時のワクワクドキドキの様子を、今でも語ってくれます。多くの方に夢を見せ、人生を変えるほどのインパクトを与えた側面もあったでしょう。

「時代が違うとはいえ、当時、結局、何がそれほど人びとの心に響いたのか」。そんな話もしました。

「いのちを高める」はどんなとき?

「創造性」についても話し合いました。音楽家で、数学研究者で、STEAM教育家でもある私にとって、大事にしているものの一つが創造性です。

 私がよくいう言葉に「創造性の民主化」があります。