
大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」。なぜ「クラゲ」がシンボルになったのか? 21世紀に万博を開催する意義とは? 「クラゲ館」プロデューサー・中島さち子による新刊『つくる喜びをすべての人に! いのちの遊び場 クラゲ館の挑戦』(青春出版社刊)から抜粋して紹介します。
今の時代に万博をやる意義を模索した
「どうしてクラゲ館?」
大阪・関西万博のテーマ事業の一つ「いのちを高める」のパビリオンについて、記者会見や取材などで必ず聞かれるのが、この質問です。
それほど不思議で、よくわからない……というイメージなんだと思います。
私(中島さち子)がテーマ事業のプロデューサーの一人として正式発表されたのは、2020年7月。そして9月には建築家の小堀哲夫さんに、パビリオンの企画に協力してほしいと声をかけました。この動きは、8人のプロデューサーではいちばん早かったはずです。
テーマ事業を本当の意味で「成功」させるには「場」の作り方が重要で、建物、いや「場」自体が思想を伝えるものでなければならないと考えたからです。
開催まで5年ありましたが、2020年11月になると、毎週小堀哲夫建築設計事務所で会議を開き、大阪・関西万博やテーマ事業について話し合いました。参加者は事務所のスタッフや私の友人の数学者や音楽家、教育関係といった人たちです。
もっとも、明確な議題はなく、みんなで緩やかに2~3時間、「そもそもいのちが輝く、いのちを高めるって?」「創造性って何? 創造性ってなんか怖い気がする……」などなどを話し合う場でした。日によってメンバーも違い、若い人や、時にお子さんもいれば70代ぐらいの人もいるなど、年齢もまちまちです。