「自分も、もっと数字に強ければ…」
日々の買い物や職場で「数字コンプレックス」を感じたことはないだろうか。「算数や数学は大キライ…」「できるだけ見たくない…」中には「数字はもう諦めた」という人もいるだろう。
しかし実は、「数字に強い」は生まれつきの才能ではない。数字に強い人は、無意識のうちに九九などの「頭を使わないラクな計算」を使って、面倒な計算をうまくサボっているのだ。
新刊『「数字がこわい」がなくなる本』は、数字に強い人の脳内を解明した一冊。数字に強い人が無意識にやっている「頭を使わないサボり計算テク」を知れる本書の中から、今回は「数字のとらえ方」について紹介したい。

【大阪万博】目玉の「大屋根リング」は全長2025m。では、直径はいくつ?<2分で数字に強くなる解説>Photo: yu_photo/Adobe Stock

2025mのリング。どれくらい大きい?

4月から始まっている「大阪万博」の注目ポイントの一つ、大屋根リングが話題です。なんと全長2025mもあり、世界最大の木造建築物としてギネス記録にも認定されています。2025年開催にちなんだ長さ設定というのも面白いですね。

では、仮にリングの直径を徒歩で横切ろうとした場合、一体どれくらいの時間がかかるのでしょうか? 今回は「数字に強い人の考え方」を見てみましょう。

数字が苦手な人でも安心してください。難しい計算は抜きでシンプルに考えていきます。

身近な数字になるように計算する

まず、円の基本的な公式からおさらいすると、円周の長さは「直径×円周率」で求められます。ざっくりした計算として円周率3.14…を、3として使ってしまいましょう。ざっくりなら3でOKですよ。

すると、「2025m ÷ 3 =?」これでも、まだ難しいかもしれません。四捨五入して、2000÷3=670mくらいになりますかね。実際に公式の発表でも、このリングの直径(外径)はおよそ675mでほぼ計算通りですね。(なお、実際はリングの幅が30mほどあるので、少し計算がずれます。)

そして、一般的な人が普通に歩く速度は、だいたい1分間に80mと言われています。670mを徒歩で横断する場合は、670m ÷ 80m/分 = 8.4分。キリ良く考えれば、およそ8分半ほどでリングの外径を横切れるということになります。

これを近い!と感じるか、意外と遠い…と感じるかは人それぞれですが、具体的な数字を見れば、規模感がぐっとリアルになりますね。

「数字に強い人」になるコツ

数字に強い人は、数字を見たら、ざっくりでも計算をします。四捨五入などを駆使して数字をまるくして計算しやすいように捉え、素早く暗算・概算をしていくのです。自分がイメージできる日常的な単位にサッと置き換えてしまえば、数字はこわくないですね。

また、今回の例で言えば、「徒歩1分間=約80m」という基準を知っているかどうかも重要です。さらに言えば、円周率を約3でざっくり扱うことが許せるかどうかでも差が出ます。数字に強い人は、こういった時にさっと使える「基準」と、「ざっくり捉える力」が優れているのです。

大阪万博が話題になっていますが、日常のニュースで出てくる数字にちょっとした計算を加えて自分なりに「腑に落ちる」感覚を持つことができれば、ぐっと数字に強くなりますよ。

大阪万博の大屋根リングも、ぜひこの機会に実際の距離感を想像するのも楽しいかもしれません。万博に行く予定のある方は、この計算結果を体感しながら歩いてみてください。

(本記事は『「数字がこわい」がなくなる本』に関する書き下ろし原稿です)