「大阪万博とカジノでウハウハ!」が夢物語に終わりかねない3つの理由Photo:VCG/gettyimages

万博の成否もそうだが、万博が終わった後の大阪がどうなるのか、景気が好転するかが気になる。この10年ほど、大阪では商業ビルやタワマンが建ち、屋台で覚醒剤を売るほど治安の悪かった公園も生まれ変わったが、そうした再開発がついに一巡してきた。維新の会の真の狙いは、万博をきっかけとした都市開発。カジノリゾートやF1も含めたエンタメシティを誕生させる気だ。しかし、そう簡単に進むわけがない三つの懸念を指摘したい。(ライター 三浦健史)

前売券販売が目標数に全く届かなかった

 4月13日、EXPO2025大阪・関西万博が開幕した。開会式のパフォーマンスは総じて評判が良かった。まあ逆に言えば、これほど資金が投入されたイベントが、つまらないほうがおかしいのだが。そもそもこれほど開幕前にSNS上で賛否が激しく分かれたイベントも珍しい。

 開幕した後もオペレーションのまずさを指摘する声は大きくなるばかり。東京五輪にも批判はあったが、それでもアスリートを応援しようという声が日増しに強くなった。しかし万博ではパビリオンなどの内容を褒めるよりも、維新の会の熱心な支持層を中心に、万博を推進した党代表の吉村洋文大阪府知事を賞賛する声が目立つ。

 何をもって万博の成否を計るか。一般的には入場者数だろう。だが入場券の売り上げは振るわない。関西の各企業には経済団体から前売券購入の要請があったことから、福利厚生の一環として無料で前売券をもらった会社員は実に多い。

 ところが、パビリオンの内容に関する情報が開幕直前まで全く開示されなかったうえ、入場、駐車場、フードコートの予約を別々のアプリでしなければならない煩雑さに戸惑い、皆いつ行こうか様子見している状態だ。

 万博事務局の速報によると、前売券販売数は1170万枚で、目標の1400万枚には届かなかった。なお、05年の愛知万博では前売券938.8万枚、当日券698.8万枚、入場券販売枚数は1632万枚とまとめている(愛・地球博閉幕後データ集)。全期間券で複数入場した人や招待客などを含め、最終公式入場者数は2204万9544人だった(同)。前売券の販売数だけ見ると大阪が愛知を上回った。

 しかし愛知万博では大人4600円だった当日券が、今回の大阪万博では7500円に値上がりしている(平日券6000円、夜間券3700円)。愛知並みの入場者が見込めるかは、微妙なところだ。前売券の販売目標がビハインドしたことを考えると、入場者数の目標2820万人の達成は危ぶまれる。