配当へのこだわり、投資家が正しい理由Illustration: ELENA SCOTTI/WSJ, ISTOCK

 配当を重視した投資をすれば、結果的に大きなリターンがついてくる。

 金融分野の教授らの間では以前から、現金配当にこだわる投資家を批判的に見る傾向があった。だが最近発表された研究リポートは、人々が実際に配当金をどう捉え、なぜ現金を受け取ることを好むのかを考察し、それは理にかなっているから、という結論を導き出した。

 1960年代初めの配当に関する初期の研究では、人々は配当にこだわる必要はないとの主張がなされていた。つまり、重要なのは富の最大化であり、配当は投資家のトータルリターンの一部に過ぎない。結局のところ、企業が支払う現金はその企業の価値を同じ額だけ減少させる、という論理だった。

 やがて行動ファイナンスの理論が登場し、人々はロボットのように行動するわけではないとの認識が広がった。なぜ人々は配当として年に4回現金を受け取ることに魅力を感じるのか、ということの説明も試みられた。

 一つの答えは、人々は利息や配当を賃金と同じ心理的な区分、つまり、支出に回しても良いと感じる収入と捉えているということだった。一方で人々は投資元本を別物と考え、たとえ値上がりした株を売って自分で「配当」を作り出すことが可能でも、なかなか手をつけようとしない。

 それでも謎は残っていた。1970年代の論文「配当のパズル」は、人々が配当を好むことを認識しながらも、パズルのピースが「うまく合わない」としていた。