マネーが大きく揺れている。日本銀行の黒田東彦総裁が打ち出した“異次元緩和”をはじめとする日米欧の大規模な金融緩和によって、“中央銀行バブル”が発生しているからだ。日本でも株式市場は乱高下、金利も不気味な上昇を続ける。投資マネーはどこに向かい、何を引き起こすのか。そしてその果ては……。

雪崩を起こした株価

 日経平均株価が1143円もの大暴落を見せた5月23日以降、株式市場の動揺が収まらない。

 24日は前場で反発し、上げ幅は一時500円を超えて1万5000円台を回復。しかし後場に入ると一転、先物売りが加速し、下げ幅が一時500円を超える乱高下を見せる。終値は何とか前日比128円高の1万4612円とプラス圏で引けた。

 週明けの27日、またも先物売りで大幅に反落して469円安、翌28日に今度は大きく反発し、一時は200円を超える上げ幅となるほど、連日、数百円単位で上下に振れるという異常な事態が続いた。

 年明け以降、20%あたりをうろうろしていた日経平均株価の荒れっぷりを示すボラティリティ・インデックスは、5月23日に43.7%まで跳ね上がり、現在も30%台後半で推移している。

 こうした“変調”の引き金を引いたのは、海の向こうで方向転換し始めた、FRB(米連邦準備制度理事会)だ。

「今後数回の会合で、債券購入のペース減速を決定することもあり得る」

 5月22日、バーナンキFRB議長が議会証言でそう発言すると、市場はこれまでの世界的な株価上昇のエンジンとなってきたQE3(量的緩和第3弾)を「いよいよ縮小する」と受け止めた。

 この発言、よく見ると「景気改善が持続的だと確信した場合」との条件付き。実際には、慎重姿勢に変わりはないのだが、“お金の創造主”がいなくなるのではないかと、市場は過敏に反応する。

 直前に一時1万5542ドルの史上最高値を付けていたニューヨークダウは一転して急落し、さらには米10年物金利が2%を突破。この米長期金利の上昇が翌23日、今度は東京市場を大きく振り回すことになる。