
厚生労働省のデータによれば、2022年9月1日時点で100歳を超えた人は全国で9万526人に上り、52年連続で過去最多を更新している。長きにわたる高齢者調査で見えてきた、人生の最後まで自立した生活を送るためのカギを、老年内科のエキスパート・新井康通医師が解説する。※本稿は、中央公論新社 編『名医に聞く健康法』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
100歳で自立している人は
その後も長生きしている
私が所属する慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターでは、超高齢者(85歳以上)、百寿者(100歳以上)、超百寿者(105歳以上)、スーパーセンチナリアン(110歳以上)の寿命と健康の関係について研究を続けてきました。
人生の最後までイキイキと、心身ともに自立した生活を送ることは多くの人の理想。そこで私たちは、長寿でありさえすればよいという観点ではなく、健康寿命をいかに延ばしていくかという視点で、医学、社会心理学、看護学、栄養学など、さまざまな側面から調査を実施しています。
そのなかで明らかになったのは、85歳以上の超高齢者のうち、移動、着替え、食事、入浴などの日常生活動作を「自立」「ほぼ自立」して行えている人は約半数であるということ。百寿者ともなれば、その割合は約2割になってしまう。ただし、100歳の時点で自立している人は、その後も長生きだということでした。
いつまでも自立した生活が送れている高齢者には、どんな特徴があるのか。調査結果から私たちが導き出したのは、以下の3つです。