肥満や糖尿病とも関係している「動脈硬化」も、血管の壁にコレステロールがたまることで、その部分に免疫細胞が反応して慢性炎症が起こっている状態。「腸内細菌叢の乱れ」は、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れることで免疫機能が低下し、炎症を招くとされています。

65歳を過ぎたら
腹八分目は気にしない

 また、リンパ球などの免疫細胞は加齢とともに老化し、機能が低下。このように「免疫老化」が進んだ体では、あちこちで弱い炎症が起こるようになります。そして、近年の研究で注目されているのが「細胞老化」です。

 老化した細胞はサイトカインなどの炎症性物質を分泌することで、周りの細胞まで老化させてしまうことがわかってきました。

 では、慢性炎症を抑制するには何をすればよいのか。それには、健康な体の維持が欠かせません。特に、「食事」や「運動」に気をつけることが有効です。

 まず、食生活は1日3食、栄養バランスのとれた食事をすることが基本。いろいろな食材を食べることは、咬合力(噛む力)の維持、嚥下機能の低下防止にも繋がります。

 食べる量については、メタボ対策として「腹八分目」を心がけることが大切です。とはいえ、それも65歳頃まで。年を重ねると食が細くなる人が多いため、フレイル対策として痩せすぎないよう気をつけなければなりません。

 魚や肉、乳製品、卵、大豆製品などから、筋肉を作り、免疫力を高めるタンパク質を。さらにビタミンやミネラルを多く含む野菜や果物もしっかりと摂って、骨や歯の新陳代謝と、細胞の活性化を促しましょう。

 運動は、年齢や体力に合わせてできることを継続してください。

元気に長生きする人に
共通する性格

 世界保健機関(WHO)は、「65歳以上の高齢者は座位時間を身体活動(強度は問わない)に置き換えることで健康効果が得られる」と提言しています。実際、85歳以上の元気な長寿者の約7割が散歩をしており、ほかにもラジオ体操やストレッチなど軽い運動を習慣にしている人が多くいました。