
運動不足や食生活の乱れから、血糖値が高めの人が増えている。糖尿病の怖い点は、症状が悪化するまでほとんど自覚症状がないことだ。糖尿病を遠ざけるため、血糖値を上げない日常生活のコツを専門医・玉谷実智夫医師が解説する。※本稿は、中央公論新社 編『名医に聞く健康法』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
糖尿病は悪化するまで
自覚症状がない
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度を示す値で、食事をすると誰でも上昇します。食後に上昇した血糖値を安定させるために働くのが、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンというホルモンですが、糖の摂取が多い生活を続けていると、やがては膵臓が疲弊してしまい、インスリンが分泌されなくなってしまいます。
インスリンの分泌機能が低下し、血液中に慢性的にブドウ糖が増えてしまうのが、いわゆる糖尿病です。
血液中のブドウ糖が過剰な状態が続くと、血管が硬くもろくなって動脈硬化が進みます。そうなると、毛細血管が詰まり必要な栄養素が全身に供給されづらくなるため、手足のしびれや筋萎縮などの神経障害が表れるのです。加えて、網膜にも栄養が行きわたらなくなった結果、目が見えにくくなることもあります。
こうした症状が出るまでに10~20年ほどかかりますが、糖尿病の怖いところは、症状が悪化するまでほとんど自覚症状がないことです。進行を食い止めるために、年に1度は必ず健康診断を受けて、自分の血糖値を把握しておきましょう。