フレイルの発症を
遅らせることがカギ?

(1)心臓や血管など循環器系の老化が遅い

 加齢にともなう心機能や血管の弾力性の低下は避けられないものの、百寿者の多くは、ほかの高齢者より血管の状態がよく、心機能も良好に保たれていることがわかっています。

 また、スーパーセンチナリアンは心不全の診断指標となる血液中のホルモン「NT-proBNP」の血中濃度が、100歳時点でほかの百寿者よりも低く抑えられていました。「NT-proBNP」は心臓のポンプ機能が低下するほど多く分泌されるため、自立して長生きしている人ほど心臓の老化が緩やかだといえるでしょう。

(2)認知機能を保てている

 認知機能の低下は、生活の自立度に大きく影響します。スーパーセンチナリアンは100歳時点で自立した日常生活を送れており、認知症を発症している人はいませんでした。

(3)フレイルになるのが遅い

 フレイル(加齢により筋肉や骨量が減少し、心身の活力が低下した状態)が進行すると、介護が必要な状況になります。100歳以上で亡くなった高齢者を対象に100~104歳時点のフレイル状況を調査した結果、110歳以上で亡くなった人がもっとも自立していたことがわかりました。

 このことから、フレイルの発症を遅らせることが健康寿命を延ばすカギといえるでしょう。沖縄県の百寿者研究でも、同様の結果が報告されています。

 これらの3つの特徴は、体内で起こる「慢性炎症」を抑制できていることと関係しています。慢性炎症が起きる原因の代表的なものは、「肥満」「動脈硬化」「腸内細菌叢の乱れ」「免疫老化」「細胞老化」の5つ。なかでも気をつけたいのが「肥満」です。

 肥満の人の脂肪細胞からは炎症性物質のサイトカインが多量に分泌され、これに免疫細胞が過剰に反応することで炎症が慢性化。血糖値が下がりにくくなり、血管を傷つけるため、動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病のリスクを高めます。