健康診断の結果で
注目すべき数値は?

 健康診断の結果を見るときには、『空腹時血糖値』ではなく、『HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)』の数値に着目してみてください。

 これは、過去1~2カ月間の平均的な血糖値を表しており、正常な数値は4.6~6.0の範囲内です。6.0以上になると糖尿病予備軍、6.5以上は糖尿病の可能性があります。あくまでも目安ですから、確実な診断には病院での血液検査が必要です。

 なかには、HbA1cは正常なのに、食後に血糖値が異常に上がるという人もいます。発見しづらいことから「かくれ糖尿病」といわれています。こうしたケースは、体質的にインスリンの分泌量が少ない可能性が考えられます。家系的に糖尿病が多いという人は、病院で食後血糖値を調べておきましょう。

 糖尿病を予防する、また、進行させないためには、血糖値を急激に上げない生活を心がけることが大切です。まずは食生活を見直してみましょう。

 血糖値を上げるのは、主に炭水化物に含まれる糖質ですから、今まで3食毎回ごはんを食べていた人は、1食分を抜くなど、無理のない範囲で糖質を減らすこと。運動も有効ですから、ぜひ習慣にしてください。

 重症化すると全身の血管に障害をもたらす糖尿病は、がんや認知症などの発症リスクも高めます。過剰なインスリン分泌はがん細胞の増殖を促し、がんの発症率を高めることがわかっています。

 また、インスリンは役割を果たした後にインスリン分解酵素によって分解されます。この分解酵素はアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβを分解する役割も果たしているため、インスリンの分解に使われてしまうとアミロイドβが溜まりやすくなり、認知症が進行しやすくなります。