社会保障は長年にわたり、米国政治において再選で敗れるリスクがあるとして、手をつけてはならない聖域とされてきた。だがトランプ政権は巨額の退職者信託基金の支払い能力を巡り、これを維持する方法を見いだすことに関心を示している。退職給付の一部を支払う信託基金が今後10年以内に枯渇すると予想される中、社会保障局(SSA)の元幹部スコット・コルター氏は今春、解決策を提案。事情に詳しい関係者らによれば、最近までSSAの最高情報責任者(CIO)を務めていたコルター氏は、2兆7000億ドル(約390兆円)の信託基金の一部に関し、満期時にS&P500種株に転換可能な米国債に投資することを推奨した。だがこれまでに報じられていなかった同氏のこの提案は、5月に就任したSSAのフランク・ビシグナノ長官に受け入れられなかったという。決算処理会社ファイサーブの最高経営責任者(CEO)だったビシグナノ氏は、同局の劣悪な顧客サービスの改善やウェブサイト・電話システムへの人工知能(AI)のさらなる統合など、より緊急の課題に注力しているとこれまでに述べている。
米社会保障局の元幹部、退職者信託基金の投資方法変更を検討
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