「やることあるのに、なぜか動けない」――そんな自分を責めて、ストレスを抱えていませんか?
勉強、仕事、筋トレ…やる気はあるのに先延ばしてしまう。多くの人が抱えるこの悩みに、心理学の視点から解決法を提案するのが、新刊『すぐやる人の頭の中──心理学で先延ばしをなくす』です。
著者は、モチベーションの研究を専門とする筑波大学人間系教授・外山美樹氏。本稿では、本書より一部を抜粋し、「先延ばしグセを解消し、決めたことをやり切るコツ」を紹介します。

【心理学】やる気がでない日に、瞬時に「仕事・勉強を開始する」すごい方法ベスト1Photo: Adobe Stock

心理学的に効果の高い目標とは?

 私たちは、目標が設定されることで、「現在の状態」と「理想とする状態」とのギャップを認識します。

 そのギャップが一種の緊張状態を生み出し、人はその緊張状態を解消しようとする方向、すなわち目標に向かって動き出します。

 では、どのような目標が、私たちのモチベーションを高めるのでしょうか?

「たくさんやる」より「1時間やる」

 第一に、具体的で明確な目標です。

 たとえば「たくさん勉強する」というあいまいな目標では、どこまで(あるいは、いつまで)勉強するのか、はっきりしていません。

 目標がはっきりしていなければ、低きに流れるのは簡単です。「このくらいでいいかな」といった感じです。

「たくさん勉強する」というのは、明確な目標が定められていないために、「たくさん」からはほど遠い結果しか生み出しません。

 また、あいまいな目標だと、それが達成できたのかどうかもわからないままです。

「たくさん勉強する」よりはるかに有効なのが、「具体的で明確な目標」の設定です。

 たとえば「1時間勉強する」というものです。

 ヨットの指導をしている、あるコーチから聞いた話ですが、ヨットを操る時、コーチが「力いっぱいロープを握れ」と指示しても、クルーは力いっぱいに握れないそうです。

 ところが「20秒握れ」と言われると、それに向かって途端に頑張る。数字が入るか入らないかで、クルーの動きは全く違ってくるのだそうです。

 なぜ、「20秒握れ」と言われると、頑張れるのでしょうか?

 答えは簡単です。

 何が求められているかを正確に知ることで、適当に取り組んだり、自分自身に「これくらいで十分だ」という言い訳をしたりすることができなくなります。

 具体的で明確な目標を設定することは、目標に注意を集中させ、目標達成へのモチベーションを高めることになります。

 また、具体的に目標を設定することで、その目標が達成されたのか、そうでないのかが一目瞭然となります。

【行動につながらない目標】
× 「たくさん勉強する」
× 「力いっぱいロープを握る」


【行動につながる目標】

〇 「1時間勉強する」
〇 「20秒握る」