非米国株投資のチャンス 配分比率どうする?Photo:Westend61/gettyimages

 2008~09年の世界金融危機以降、米国株に後れを取っていた外国株が最近、アウトパフォームし始めている。投資家には次のような疑問が浮かぶだろう。投資ポートフォリオに占める外国株の比率はどのくらいが適切なのか。

 多くの米国の投資家はこの点をあまり考えていない。ニュースでは主にダウ工業株30種平均やS&P500種指数、ナスダック総合指数といった米国の主要株価指数を取り上げるからだ。そのうえ過去15年ほどは米国株に注力した方が良好な運用成績を上げられた。

「米国以外のポートフォリオをいかに見直すべきかを顧客が問い合わせてきている」。米資産運用大手ブラックロックのポートフォリオストラテジスト、ガーギ・チャウダリ氏はこう話す。「多くの人がここ何年か、真剣に考えてこなかった」

 理由はこうだ。モーニングスター・ダイレクトによると、2010~24年には米国株が年率約13.5%のリターンを上げたのに対し、外国株は4.8%にとどまった(各カテゴリーで運用残高が最大のトータルマーケット・インデックスファンドのデータに基づく)。だが今年上半期には、米国以外の株が18.2%のリターンを上げ、5.6%の米国株を大きく上回った。トランプ氏が春に発表した関税を巡る混乱が特徴的だった期間だ。

 ヤルデニ・リサーチによると、7月2日時点の株価に基づく予想株価収益率(PER)は米国株が23倍で、米国以外の株の14倍に対してかなり割高になっている。

米国株優位が続いた理由

 シティグループの市場ストラテジスト、ドリュー・ペティット氏によると、PERなどのバリュエーション(投資尺度)の差は、利益成長率の違いを反映している。過去5年間、米企業の利益は年率9%の伸びを示したのに対し、米国以外の企業の利益は先進国市場で4%、新興国市場ではわずか1%の伸びにとどまった。

 過去15年間に大きなパフォーマンスの差が生じた理由には、外国通貨に対するドル高と、ITや通信などの高成長分野における米国の優位性がある。この2年間は特に、グーグルの親会社アルファベット、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディアなどの「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる超大型7銘柄がけん引役となった。