2025年は「欧州株」が輝きを取り戻す、米著名投資家が米国株&日本株よりも期待する理由Photo:Bloomberg/gettyimages

市場では悲観論が支配的だが、米著名投資家ケン・フィッシャー氏は、それこそが強気相場の原動力となると指摘する。欧州が株式市場の主役になる理由やトランプ政権の政策がどのように市場に織り込まれていくのかについて考察する。

2025年は欧州が株式市場を牽引
サプライズ効果が大きなリターンを生む

 1月のコラム(25年の株式市場「3つのシナリオ」、米著名投資家が「強気を貫くべき」と説く理由)では、2025年の株式市場には同程度の可能性で起こり得る三つの結果があり、どれかが有力となった時、皆さんに報告すると私は述べた。今回のコラムは、更なるリサーチを経た結果をご紹介したいと思う。

 まずは、以前ご紹介した起こり得る三つのシナリオを確認しよう。それは(1)米国株・世界株が再び大きく上昇する、(2)両者が若干下落する、(3)両社が辛うじて1桁台前半のリターン、の三つだ。そして現時点で最も起こり得そうなシナリオは(1)となった。私が予想するのは、欧州が牽引する——懸念されているより明るい2025年だ。理由は以下の通りだ。

ケン・フィッシャ―氏Ken Fisher/運用資産25兆円超の独立系運用会社、フィッシャー・インベストメンツの創業者。米国の長者番付「フォーブス400」常連の億万長者。ビジネスや金融分野の出版物に多数寄稿し、投資関連の著書も数多い。父はウォーレン・バフェット氏が師と公言し、「成長株投資」の礎を築いた伝説的投資家である故フィリップ・フィッシャー氏

 前回の私のコラム以降、欧州の投資家心理は極端に悲観的であることが明らかになった。しかし、この悲観的な見方は現実よりもはるかに悪い見方だ。この過度な悲観論は、株式市場にとって強気材料となる。なぜなら、予想を上回るポジティブなサプライズを生みやすいからだ。

 1月のコラムでは大幅なリターンが3年続くことは歴史的に稀で、大半の投資家を驚かせるだろうとも述べた。プロの予測家によるコンセンサスは、実際に当たることがほとんどない。

 例えば、59人のプロの市場予測のうち、2025年の米国市場の上昇率を20%以上と見込んでいるのはわずか2人しかいない。そのうち1人は最近予測を修正したばかりだ。この「サプライズ効果」が、大きなリターンを生む可能性を高めている。

 さらに、2025年は米国で大統領が就任する年であるが、歴史的に就任年の60%で株価は上昇しており、上昇時は大幅に伸びる傾向がある。現在、企業の業績は堅調であり、利益は伸びるだろう。米国市場と日本市場の高い相関性、そして米国の巨大な影響力を考えれば、こうしたポジティブな流れは日本を含む世界市場に波及する可能性が高い。