株式投資はリスクが高い。それは事実である。ただ、投資先を分散したり、他の商品との投資を組み合わせたりすることでリスクを調整できる。長期間投資すれば、そのこと自体がリスクを低下させる。それらの組み合わせで個々人が許容できる最大損失額に合わせたリスクを取った資産運用を心掛けたい。(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント ジャパン・エクイティ ストラテジスト 小林千紗)
許容できる最大限の
損失額を認識する
株式投資はリスクが高いといわれる。確かに、伝統的な投資資産である株式と債券の2つの資産を比較すると、株式の方がリターンは高いがその分リスク(価格の変動幅もしくは標準偏差)も高い。個別銘柄に投資して、投資期間1年で結果を出そうと思うと、マイナスのリターン(損失)で終わる可能性も相応に大きいといえる。
しかし、長期で投資することでリスクがリターンを上回る時期がやってくる。これは、リスクの時間分散効果といわれる。また、リスクの大きさは、さまざまな株式(国、セクターなど)を組み合わせる株式分散や、債券など他の投資資産との組み合わせによる資産分散により抑えることは可能である。
リスク許容度が低い(リスクを取りたくない)と感じている投資家は、期待リターンを前提に投資先を選別するのではなく、自己の余剰資金の範囲で、自らが取れるリスク(最大どの程度までの損失を許容できるのか)を認識し、それに見合ったリターンが得られる資産クラスへ投資する方法も一考すべきである。
次ページ以降、投資におけるリスクを調整する手法とその効果について解説していく。