イランの核施設に対する米国の爆撃は、印象的な軍事面の功績だったが、この成功に惑わされてはならない。B2爆撃機は30年近く前から使われており、そのうち現役で運用されているのは19機だけだ。米軍の状況はドナルド・トランプ大統領が主張しているよりも悪く、トランプ氏は2期目に行うと約束した軍備増強を避けて通っている。ホワイトハウスは、2026会計年度(2025年10月~26年9月)の国防予算として1兆ドル(約147兆円)を要求していることを宣伝している。トランプ氏はまた、北大西洋条約機構(NATO)に加盟国の国防費を国内総生産(GDP)比5%とする目標について同意させたことで、当然の称賛を浴びている。だが、米国はNATOに求めている目標を自国でも達成できていない。ロナルド・レーガン元大統領の軍拡路線の絶頂期に米国の国防費はGDP比6%だったが、現在はその約半分だ。1兆ドルという国防予算もトリックのようなものだ。トランプ政権はその総額の中に、共和党の予算調整法案に盛り込まれた国防費約1130億ドルを含めている。この予算は、艦船や航空機、無人操縦技術の購入を加速させるもので、通常の国防費に上乗せされる。