トランプ氏の心変わり、欧州の「懐柔作戦」奏功ロシアによる空爆の被害を受けたウクライナ・スーミの建物(4月)
Photo: Serhii Korovayny for WSJ

【ベルリン】ドナルド・トランプ米大統領は7月11日遅く、ロシアによるウクライナ諸都市への空爆の映像を見た後に、自身の携帯電話からドイツのフリードリヒ・メルツ首相に電話をかけ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナへの攻撃を続けていることへの不満を表明した。この会談内容を詳しく知る当局者2人が明らかにした。

 この2人によると、メルツ氏は驚いたが、トランプ氏がプーチン氏にしびれを切らしているのだとすぐに気付いたという。トランプ氏は、数日前にメルツ氏から受けた提案を今は受け入れる用意があると語った。その提案とは、ドイツの資金を使ってウクライナのために米国製兵器を購入するというものだったと、前出の当局者2人は話した。

 ホワイトハウスのアンナ・ケリー副報道官は「トランプ大統領は、プーチン氏に対する不満を公式、非公式の場で示している」と述べた。「彼(トランプ氏)は殺りくを止めて、この残忍な戦争を終わらせたいと思っており、それが北大西洋条約機構(NATO)加盟国に米国製兵器を売却する理由だ」

 トランプ氏は14日、プーチン氏が本格的に和平交渉を始めるための50日の期限を設け、NATO加盟国の資金で賄われるウクライナ向けの大規模な兵器供与パッケージを発表した。同時に、ロシアが戦争終結に動かなければ同国に追加の経済制裁を科すことも辞さないと表明した。