いま、AIを使って仕事を進めることが当たり前になりつつある。しかし一方で、「ただの業務効率化」で終わってしまっている人も多い。
「人間でもできる仕事をAIに任せて満足するのはもったいない」。そう語るのは、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなどを含む600社以上、のべ2万人以上に思考や発想の研修をしてきた石井力重氏だ。同氏は「AIの真価は、自分の能力以上のひらめきや答えをもたらしてくれることです」と言う。そのためのノウハウをまとめたのが、書籍『AIを使って考えるための全技術』だ。「頭を使う作業」にAIを活用する56の技法を紹介。「AI回答の質が目に見えて変わった」との声が相次ぎ、発売直後から話題になっている。思考・発想のベストセラー『考具』著者の加藤昌治氏が全面監修した同書から、AIの便利な使い方を紹介しよう。

AIを「頭を使う仕事」に使う方法とは
AIを、たんに仕事の効率化や自動化だけに使うのはもったいない。
賢く使うことで「頭を使う作業」にも十分に役立てることができます。
たとえば、議論した結果、微妙なアイデアしか出てこなかったとき。そこで役立つのが、AIを使って考えるための技法その19「着想の良いところ」です。
そのプロンプトはこちらです。
アイデアを言うので、そのアイデアの良いところを4つ、発展のために考慮すべきことを1つ、コメントしてください。
〈アイデアの候補を記入〉
場に出ているアイデアをAIに入力し、「良いところ」を4つ、改善点を1つだけ出してもらいます。そのアイデアが持つ潜在的な可能性が描き出されるだけでなく、改良のヒントも手に入り、アイデアをさらに発展させることもできます。
大抵のアイデアには改良改善の余地があるので、どんなアイデアに使っていただいてもかまいません。
なお、カジュアルなテイストでの出力を促すため、あえてプロンプトでは「アイデアを言うので」「コメントして」と、表現を意図的にカジュアルにしています。
「自転車」の新しいアイデアを磨いてみよう
アイデアの種の「磨けば光る点」を見つけ、改善点を示すこの技法。実践してみましょう。
AIに投下するアイデアは「電動レス・アシスト自転車」。とあるワークショップで実際に出てきたアイデアです。褒めるとは、どんなコメントをすることなのか。そこに注目してください。
アイデアを言うので、そのアイデアの良いところを4つ、発展のために考慮すべきことを1つ、コメントしてください。
〈電動レス・アシスト自転車(ブレーキの力で、ゼンマイを巻き貯めておき、走り出しや上り坂で、リリースレバーを握ると、巻かれたゼンマイが解放され、車輪の駆動力になる)〉
褒められるポイントは4つもあるのでしょうか。AIはどこに着目してくれるでしょう。