「この本のおかげで出世できた」「チームのパフォーマンスが上がった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。今回は、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「なんとかします」が口グセの会社員が、逆に信頼を失うワケPhoto: Adobe Stock

前向きに聞こえるが、最も危険な返答

 依頼に対して「なんとかします」と返す人は一見、やる気があり柔軟に対応してくれそうに見えます。

 ところが実務の現場では、このフレーズほど期待値をズラし、信頼をなくす言い方はありません。

「なんとかする」は、手段が不明、条件が未確定、期限が曖昧ということを意味します

 結果、依頼側も受け手側も管理不能な状態に陥りやすくなります。

信頼をなくす3つの理由

1.期限が確定しない
「いつまでに?」が明示されないまま時間だけが過ぎ、依頼者が催促することになります。

2.成果物が定義されない
 受け手の「できた」と依頼側の「これじゃない」が噛み合わず、手戻りが連発します。

3.リスク共有がゼロ
 必要リソースや前提条件を告げないため、後で「実は他の案件が」と言い出し、問題が大きくなります。

 この繰り返しで、「あの人に任せると不安だよね」というラベルが貼られてしまうのです。

依頼を引き取るときの最低3点セット

「なんとかします」を卒業するには、依頼するときに以下のことを必ず言語化しましょう。

納期:いつまでに提出するか
成果物の定義:形式や完了条件のすり合わせ
前提と制約:必要な協力者、他の案件との優先順位などを確認する

 この3点を押さえれば、信頼されるようになっていきます。

 これらを運用すると、「なんとかする」ではなく、「◯◯日までに、達成条件は◯◯、そのために必要なのは◯◯」という事実ベースの会話に変わります

 その結果、勘違いがなくなり、信頼が積み上がります。

仮面をかぶって、条件提示から始めましょう

 内心「断りにくい」「とりあえず受けてから考えたい」と思うときほど、「なんとかします」と言いたくなるかもしれません。

 そこをぐっと飲み込み、仮面をかぶって期限・条件・成果物を言語化して返す習慣を持ちましょう

 あいまいな前向きさより、冷静な線引きが信頼を生みます。

 感情を脇に置き、仮面をかぶって、約束を設計する側に立ってください。

(本稿は、リーダーの仮面の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計170万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。