なぜ「できるリーダー」は緊急対応でも新人に任せられるのか?写真はイメージです Photo:PIXTA

どんな職場でも、新人に重要な仕事を任せるのは不安なもの。しかし、人材不足が深刻化する昨今、緊急案件が発生したときには、経験の浅い部下に仕事を任せざるを得ない場面も少なくない。では、人も時間も足りない中で、リーダーはどう指導すればよいのか。経験の浅い部下でも成果を出せるようになる、効果的な2つの方法を紹介しよう。※本稿は、株式会社クロスリバー代表取締役社長の越川慎司『一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

必要なのは「完璧な指導」ではなく
「型だけ教えて任せる」こと

「じっくり育てる時間がない」

「でも、任せないと回らない」

 このジレンマに、多くのリーダーが苦しんでいるはずです。

 弊社が2023年に実施した「プロジェクト調査」(対象1189名)で、興味深い発見がありました。

 緊急度の高い状況下で最も成果を上げたのは、意外にも「完璧な指導」ではなく、「型だけ教えて任せる」というアプローチだったのです。

 ある製造業の工場長は、こう振り返ります。

 重要顧客からの緊急オーダー。

 正直、新人に任せるのは不安でした。

 でも、「まず、この手順だけ守って。あとは君なりにやってみて」と伝えたところ、想像以上の成果を出してくれたんです。

 このアプローチが効果的な理由は明確で、「型」が組織にもたらす価値には、ある2つの側面があります。

 1つ目は、「型」が提供する「確実性と安心感」です。

 組織のメンバーは、「型」という明確な指針に従うことで、最低限の成果を確実に達成できるという確信を得ることができます。