
「吉野家」「はなまるうどん」などを運営する吉野家ホールディングス(HD)では、社長が12年ぶりに交代し、成瀨哲也氏が新たに代表取締役社長に就任した。今年から始まる中期経営計画では、ラーメン事業を第3の柱に据え、「売上高400億円」を目指す。成瀨氏に、「ラーメン提供杯数世界一」を掲げた真意と、達成のための鍵を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大日結貴)
吉野家を次のステージに
牛丼だけでなくラーメンも
――新社長に就任されました。意気込みをお願いします。
「ひと・健康・テクノロジー」をキーワードに据えた長期経営ビジョンを、河村泰貴会長(前社長)が根付かせてきました。株主には還元、お取引さまには量の増加、お客さまにはこれまでと同じ価格でより品質の高いものを提供することで、期待に応えていきたいと考えています。
――現会長の河村氏からは、どのような成果や役割を期待されているのでしょうか。
私は、やることがとにかく早いと言われます。加えて、約束したことは、基本的にそれ以上の成果を出すという考えで仕事をしてきました。河村からは、より早く、より結果にコミットすることを期待されていると思います。
――社長交代は12年ぶりです。このタイミングで社長が交代した理由は何でしょうか。
中計が前倒しで達成できたことと、ラーメンをグローバル展開することをスピーディーにやっていくためです。そのためには当然、グローバルの視点が必要です。そこで、マネジメントやスタッフを変えていく判断につながりました。
私はマレーシアのクアラルンプールに3年間駐在するなど、海外事業を約7年間担当してきました。また小澤典裕副社長も、もともと海外で活躍してきた人材です。
――今年度から始まった中期経営計画では、「ラーメンの第3の主要セグメント化」「ラーメン提供杯数世界No.1」を掲げました。達成のための鍵は何だと考えているか教えてください。
牛丼に強いこだわりを持っている吉野家が、「ラーメン提供杯数世界No.1」を掲げたことに、多くの外食業界関係者は驚きをもって受け止めた。ラーメンははやり廃りが目まぐるしい、競争の激しい市場だ。吉野家はどのような戦略で、目標を達成するつもりなのか。次ページで、成瀨新社長に詳しく話を聞いた。