【2026年度診療報酬改定をめぐって火花散る】マイナス改定になれば腹切り必至!?「日本医師会」会長の懐事情と胸の内日本医師会 Photo:PIXTA

診療報酬改定は、日本医師会にとって最大の関心事だ。医療保険財政が逼迫する折、財務省は医師の給与水準の「適正化」を求めており、これをいかにはね返すかが、日本医師会の腕の見せどころだろう。2024年度診療報酬改定を綿密に取材した筆者が、彼らの実態と行動原理を明らかにする。※本稿は、東京新聞編集局編集委員の杉谷 剛『日本医師会の正体 なぜ医療費のムダは減らないのか』(文藝春秋)の一部を抜粋・編集したものです。

医師の既得権に挑戦する政策は
全力で葬り去られてきた

 医師会は日本医師会(以下、日医)、都道府県医師会、郡市区等医師会(地区医師会)の3層構造になっており、日本の隅々にまで組織を持ち、昔は100万票を誇った。

 今は各医療団体が組織内候補を持つようになり、医療界の票は分散した。選挙の投票率も下がってきたので、日医の政治団体「日本医師連盟」(以下、日医連)の組織内議員の自見英子でも、過去2回の参院選の獲得票数は21万票台とかつての集票力はない。

 2025年7月の参院選で初当選した日医副会長の釜萢敏の得票数は17万4434票と、当初目標の30万票に遠く及ばなかった。それでも自民党衆院議員の元秘書は「1人しか当選しない衆院の小選挙区の場合、ライバル候補の支持に回られるのが怖くて医師会には反対しづらい」と言う。

 日医は全国のブロックごとに担当の常任理事を決め、医師の既得権を脅かすような政策が持ち上がれば、常任理事が都道府県の医師会長らと連携し、中央・地方で個別に陳情活動を展開する。