
皮肉なことだ。米 アマゾン・ドット・コム はこの10年、音声アシスタント「アレクサ」が人々の会話を逐一盗み聞きしてはいないと言い続けてきたが、今ではそれが可能なブレスレットを手に入れようとしている。
米新興企業ビーが開発したウエアラブル端末は全ての会話を文字に起こす。独り言もだ。人工知能(AI)を使ってその膨大な言葉を検索可能な履歴に変換し、会話の内容を基に重要なイベントややるべき事柄を抜き出す。
マリア・デ・ルルデス・ゾロ最高経営責任者(CEO)は リンクトインへの投稿 で、ビーは「AIが真に個人的なものである世界」を思い描いており、アマゾンに加わると発表した。アマゾンの広報担当者は、契約に署名はしたものの、合意はまだまとまっていないと述べた。これはアマゾンにとって、いずれ巨大化するかもしれない市場における小さな一手だ。
筆者が初めてこのブレスレットを目にしたのは今年に入ってからで、同僚記者のジョアンナ・スターンがこれをはめていた。うわさ話を言いかけると、ジョアンナは自分の手首を指さし、ビーが聞いていると注意を促した。
ジョアンナはその 実用性に感心 していたものの、プライバシーが犠牲になることには納得していなかった。ビーは音声を保存するのではなく、文字に起こしたものを保存するだけだが、それでも相当に気味が悪い。