「やることがあるのに、手をつけられないまま時間だけが過ぎていく」――そんな自分にもどかしさを感じ、ストレスを抱えていませんか? 勉強、仕事、筋トレ…やる気はあるのに行動に移せない。そんな私たちの悩みに心理学の視点から解決策を導き出すのが、新刊『すぐやる人の頭の中──心理学で先延ばしをなくす』です。著者は、モチベーションの研究を専門とする筑波大学人間系教授・外山美樹氏。本記事では、同書の担当編集者が、その内容をもとに、「勉強を継続するための心理的なテクニック」を紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

勉強が「続く人」と「続かない人」その根本的な習慣の違いとは?Photo: Adobe Stock

勉強が「続く人」と「続かない人」、差がつく決定的瞬間とは?

  勉強しようと思っていたのに、気づけばスマホを見ていた。そんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか?

 でも、それはあなたの意志が弱いからではありません。

 実は、「続く人」と「続かない人」の違いは、意志の強さではなく、「行動を始める仕組み」を持っているかどうかにあります。

 新刊『すぐやる人の頭の中』では、「実行意図」と呼ばれる「行動を始めるための心理テクニック」が紹介されています。

 意志に頼らず、自然に行動をスタートさせるこの工夫こそが、勉強が「続く人」と「続かない人」の差を生んでいたのです。

「実行意図」とは?

 実行意図とは、「もし〇〇したら、△△をする」と、具体的な状況と行動をセットで決めておく心理学的なテクニックです。

 例えば、

「朝起きて歯を磨いたら、10分だけ英単語を暗記する」

「夕食後に机に向かったら、問題集を3ページ解く」

 というように、行動を起こす合図をあらかじめ用意しておくことで、脳が条件と行動を結び付けて、スムーズに動き出せるようになります。

「誘惑」にも効く、実行意図の使い方

 また、「実行意図」は行動を始めるための合図としてだけでなく、誘惑に負けそうなときの「抑止力」としても効果的であると本書では紹介されています。

 例えば、次のように実行意図を応用することができます。

「もし【誘惑】に出合ったら、【対処策】を実行する」

 具体的には、

「もしスマホを触りたくなったら、タイマーをかけて10分だけ我慢する」

「もし漫画に手が伸びそうになったら、代わりに参考書を1ページ読む」

 このように、あらかじめ「失敗しやすい状況」を想定し、「どう行動するか」を言葉で決めておくことで、迷いや誘惑に振り回されず、目標に向かって行動しやすくなります。

今日から、「実行意図」を活用してみませんか?

 さっそく、あなたも今日やりたいことを1つ決めて、「実行意図」の形にしてみませんか?

「帰宅して靴を脱いだら、机に向かって参考書を開く」

「21時になったら、スマホをしまって読書を始める」

 このように、前もって「行動の合図」を言葉にしておくだけで、速やかに動けることを実感できるはずです。