「自分はネガティブ思考だ」と感じて、落ち込んだり、自己嫌悪に陥っていませんか? ――でも実は、その“マイナス思考”こそが、あなたの強みになるかもしれません。
勉強、仕事、筋トレ…やる気はあるのに先延ばししてしまう。多くの人が抱えるこの悩みに、心理学の視点から答えるのが、新刊『すぐやる人の頭の中──心理学で先延ばしをなくす』です。著者は、モチベーションの研究を専門とする筑波大学人間系教授・外山美樹氏。本稿では、本書より一部を抜粋し、「自分のパーソナリティーに適したモチベーションの高め方」を紹介する。

あなたはどっちのタイプの人間? 獲得型、それとも防御型?
人には主に2つのタイプの目標へのアプローチがあり、心理学ではそれを「獲得型」と「防御型」と呼びます。
■獲得型:
「成功を手に入れたい」「理想を達成したい」という動機で行動し、多少のリスクをいとわずチャレンジするアプローチを好みます。
■防御型:
「失敗を避けたい」「損失を出したくない」という動機で行動し、注意深く慎重なアプローチを好みます。
どちらかのタイプが優れているということはありません。
たいていの人はどちらかに思考が偏りやすいため、自分自身のタイプを知ることで、やる気やパフォーマンスを高めやすくなるのです。

ポジティブ vs ネガティブ――どっちの考え方で成果が向上する?
目標に向かって行動を続けていれば、必ずフィードバックを得る機会が訪れます。
会社員であれば、上司からのフィードバックでやる気が上がったり、下がったりした経験があるのではないでしょうか。部下へのフィードバック方法に悩む人も少なくないはずです。
大きな試験に向けて勉強をしている人であれば、模試の結果に一喜一憂することもあるでしょう。
では、次のAとB、どちらのフィードバックを受けるとやる気が上がり、その後の成果向上につながると思いますか?
A:ポジティブなフィードバック(パフォーマンスが良いとを伝えられる)
B:ネガティブなフィードバック(パフォーマンスが悪いとを伝えられる)
一般的には、目標達成の見込みが高まれば、モチベーションも保ちやすいと考えられているため、よいフィードバックは常に歓迎すべきと見なされます。
しかし、それは正しくありません。
フィードバックへの反応は、その人が獲得型なのか、それとも防御型なのかによって異なります。
では、このことを検証した心理学の実験を紹介しましょう。