仕事ができる人ほど「社内向け資料」にこだわる深い理由写真はイメージです Photo:PIXTA

仕事の生産性を高める上で、「社内向けの仕事は無駄だから減らすべきだ」という声は少なくありません。しかし、社内向けの仕事は本当に無駄なのでしょうか。組織全体の生産性を精査してみると、むしろ社内向けの作業に時間をかけたほうがよい場合もあるのです。(ギックス共同創業者 田中耕比古)

社内向け資料作りは
無駄な作業なのか?

「社内向けの資料はPowerPointのスライドでつくらず、Wordで1枚にまとめるべき」

「上司を説得する資料を作るために時間をかけるのは無駄だ」

「生産性を上げるためには、社内向けの作業は極力減らして、顧客などの社外に向けた仕事に注力すべきだ」

 こうした意見は、もちろん正当性があります。

 たしかに社内向けの無駄な作業は減らすべきです。

 しかしながら、全ての内向きの仕事を「無駄だ」と切って捨てることが、生産性向上の観点で最適な選択なのかというと、それもまた違うでしょう。

 組織の生産性は、誰か一人の行動だけを取り上げて考えるものではありません。組織全体の効率を考える必要があります。

 今回は「会議の生産性」に注目して見ましょう。

会議は「偉い人に向けて説明する」
構造になっている

 会議というものは、多くの場合、「偉い人に対して、(相対的に)ジュニアな人が説明する」という構造になっています。偉い人が複数人いることもあります。

 例えば、役員1人、部長(もしくは課長)3人、スタッフ6人という状況を考えてみましょう。参加者は計10人です。

 こういう状況で話すのは、だいたい部長かスタッフです。部長が話すための資料はスタッフが作成するケースが多いでしょう。