7月25日、運命の幕開け
翌日も雨は止まなかった。朝から断続的に雨が降っている。しかしエントランス前は開園を待つ約500名の人々で賑わっていた。夏休みに入っているせいか、子ども連れの家族が目立つ。子どもたちはわくわくを抑えきれず、表情は喜びに溢れている。
奇跡的に雨は上がり、午前9時10分、開園セレモニーが始まった。ジャングリア沖縄の象徴でもある巨大なシンボルツリーの前でカウントダウンが行われ、左右から白煙が上がった。笑顔満面のスタッフが総出で客を迎え入れる。興奮を抑えきれない子どもたちは小走りで園内へ突入する。客の入場をしばらく見守ってから敷地全体を見渡せる高台のインフィニティテラスへ出ると、早くもバギー ボルテージで悪路を疾走する人々や、ダイナソー サファリに行列する人々の姿が見えた。園内の移動手段でもあるタムタムトラムは各席に楽器が備えられており、乗客は移動しながらお祭り騒ぎを楽しんでいる。インフィニティテラスから見渡す光景は、幸福に満たされている。
インフィニティテラスのバックにはビレッジバザールがあり、ショッピングを楽しむことができる。ジャングリアの商品はどれもデザインが素晴らしく、センスの良いものばかりだ。子どもたちは恐竜のカチューシャを頭につけて、早速パークへ飛び出していく。
パーク内の風景を見ながら食事を楽しめるパノラマダイニングには、早くも行列ができていた。地元の食材を中心にして作られた料理はどれも絶品だ。いわゆる「遊園地の食堂」のレベルではない。高級レストラン並みの味だ。楽しんで食べてほしい。

見えてきた課題
この日の天候は雨が降ったりやんだりで、決して良好とはいえなかった。だが大自然を楽しむのがこのパークのコンセプトだ。コンクリートと鉄でつくられたテーマパークにはない楽しみがここにはある。
駐車場を予約制としたためか、心配された渋滞は起きなかった。しかし入場ゲートでシステム障害が起きたり、アプリが機能しなかったりなどのトラブルもあったようだ。アトラクションの長い行列待ちに疲れてしまった人もいる。オープンを喜んでばかりはいられない。解決しなければならない課題はまだまだある。
現在、システムは増強し、もう心配はないとのこと。長い待ち列は、整理券配布で行列から解放するオペレーションを導入したという。
なお台風の影響やアプリのトラブルもあって、オープン初日はほとんどアトラクションに乗れないまま帰った人も一部いたという。
「システムの問題はこちら側の不手際。グランドオープン日にせっかくお越しいただいたゲストの皆様の期待にお応えできなかったことへのお詫びとして、初日の来場者全員に無期限の再入場パスを発送する予定です」(森岡CEO)
テーマパークと言うと、どうしても多くの人はディズニーランドのようなクオリティを求めてしまう。しかし忘れてはいけない。ディズニーランドは70年の年月をかけて、サービスを現在のクオリティまで磨き上げてきたのだ。ちなみに70年前の米国ディズニーランドのオープン日は、猛暑に加えてさまざまなトラブルが発生し、「ブラックサンデー」と今も語り継がれているほどの惨事だったという。
ジャングリア沖縄はスタートしたばかりだ。今は課題がいくつもあるが、一つ一つ解決しながら、どんどんブラッシュアップしていくのだろう。
森岡CEOの言葉を思い出した。
「まだまだ、ここからです」
※ジャングリア沖縄誕生までのストーリーは『心に折れない刀を持て ジャングリア沖縄、誕生までの挫折と成長の物語』(ダイヤモンド社)をご覧ください。