ルイ・ヴィトンのパリ本社に17年間勤務しPRトップをつとめ、「もっともパリジェンヌな日本人」と業界内外で称された藤原淳氏が、パリ生活で出会った多くのパリジェンヌの実例をもとに、パリジェンヌ流「最高の自分になるための神習慣」を提案したのが、著書『パリジェンヌはダイエットがお嫌い』。かつて痩せることに時間と労力を費やし、「痩せればいろいろなことを解決できる」と頑なに信じていた著者。しかし、多くのパリジェンヌと出会った今、その考えは根本から間違っていたと言います。パリジェンヌのように自身と向き合い、心身のバランスを整える習慣を日々実践することで、自分らしい美しさと自信を手に入れることができるのです。この記事では、本書より一部を抜粋、編集しパリジェンヌのように幾つになっても魅力的に生きる秘訣をお伝えします。

【日本の常識はパリの非常識】「何を手放すべき?」→その答えはすでにあなたの中にあるPhoto: Adobe Stock

「しがみつく」という惰性に気づくとき

 私達は何かしらにしがみついて生きています。しがみつくというのはもたれかかり、依存することですが、多くの場合、しがみついている人は自分がしがみついていることにすら気付いていません。そしてしがみつくことは惰性ですから、ダラダラとそのままで過ごしてしまいます。しがみつくのは案外ラクなことなのです。

 しがらみを嫌うパリジェンヌは「しがみつく」ことを良しとしません。彼女達はいつだって惰性より挑戦を選びます。何よりも自由を追い求めます。

 そんなパリジェンヌに影響され、私も長年のルイ・ヴィトンにおけるキャリアを手放しました。正直言って崖から飛び降りる思いでしたが、決心して本当に良かったと思っています。今となっては、なぜあれほどまでに自分がキャリアや肩書というものに固執していたのか、不思議で仕方ありません。

 人生には「自分が何かにしがみついていること」に気が付いてしまう時があります。そして一度気が付いてしまうと、もう目を瞑(つむ)ることができなくなります。自分を騙すことができなくなるのです。

 その時は迷わず「手放す」ことをお勧めします。それはとても勇気がいることです。かなりのエネルギーを要することでもあります。けれども、それだけの価値があることです。

手放した先に見える「本来の自分」

 痩せることへの執着を捨て去り、体重計を手放した瞬間、「自分は本当はどうありたいのか」ということが少しずつ見えてくるというお話をこの連載でしました。同じように、これまでしがみついてきたものへの執着を捨て、それを手放した瞬間、「自分本来の姿」が見えてきます。「自分が本来あるべき姿がはっきりしてくる」と言った方が正確かもしれません。

 そしてそうすることによって初めて、人は美しく、しなやかに生きていくことができるようになります。自分らしい魅力が滲み出てくるようになるのです。

 さあ、あなたは何を手放しますか?