米市場の新ミーム株、相場全体を揺るがさない訳Illustration: Rachel Mendelson/WSJ, iStock (4)

 ミーム株(はやり株)が息を吹き返した。ペニー株(超低位株)は急騰している。相場全体の何倍も上げ下げする株式が再び人気を集めている。7月を一言で表すなら、投機の過熱だ。

 日中の株価変動に賭ける取引や、その3倍のレバレッジをかけた取引を好まない投資家は、これを懸念すべきだろうか。

 懸念すべき理由は二つある。まず、過度な投機による高値は持続せず、いずれ暴落する。米ゲームソフト小売り大手ゲームストップと米映画館運営大手AMCエンターテインメント・ホールディングスは2021年のミーム株ブームの人気者だったが、現在の株価はピーク時をそれぞれ74%、99%下回っている。投機が相場全体を押し上げたのであれば、いずれ投機が相場全体を押し下げるだろう。

 二つ目の理由は、経済学者ジョン・メイナード・ケインズの1936年の言葉に関連している。「企業が投機の渦中のバブルになる」と、例え間違いだとしても資本がその企業に流れ込み、経済成長と雇用を損なう、とケインズは書いた。

 どちらも理にかなっているが、現時点の懸念理由としては正しくない。

 筆者の同僚のスペンサー・ジェイカブ氏は、新たな米ミーム4株を銘柄記号から「DORK株」と名付けた。ドーナツチェーンのクリスピー・クリーム、不動産売買プラットフォーム運営のオープンドア・テクノロジーズ、住宅ローン大手ロケット・モーゲージを傘下に持つロケット・カンパニーズ、百貨店コールズだ。この4銘柄については多くが報じられているが、個人投資家の夏の投機ブームがこの形を取ったに過ぎない。

 ソシエテ・ジェネラルのクオンツリサーチ責任者アンドルー・ラプソーン氏によると、空売り比率が特に高い銘柄の株価上昇への賭けや、財務がぜい弱な企業、大商いでボラティリティーも高水準の銘柄への投資で、10%程度のリターンが出ている。「売買高が異常だ」と同氏は述べた。