SNS時代にハマる「承認欲求の落とし穴」
――今の時代は、SNSなどで人の評価が可視化されているので、フォロワー数や「いいね!」の数など、数字に一喜一憂する人も多そうです。
川野:若い人はとくにSNSのフォロワー数や「いいね!」の数、ライブ配信の投げ銭の額などで承認を得ようとしがちです。でも、それは表面的かつ一時的なもので、自分自身の本質を認めてもらっているわけではありません。
――表面的な承認を得るために、どんどん無理をしてしまう人もいます。
川野:そのとおりです。注目を集めようと、配信の中で道化のようなふるまいになってしまうことがあります。ウケを狙ったり、おべっかを使ったりして、本来の自分とはちがう姿を演じ続けてしまうんですね。
――配信やSNSのシステムそのものが、承認欲求を刺激しているんですね。
川野:残念ながらその可能性は否めないと思います。家にいながら承認が得られる環境が、承認欲求を過剰に刺激する。その結果、かりそめの承認に依存してしまうと、ますます満たされなくなってしまうんです。
「他人の目」より「自分の納得感」を大切にしよう
――仕事の場合だと、売上の数字に悩む人もいます。営業や企画など、自分がやった仕事と数字がダイレクトにつながってしまう職種の人は、売上の数字がプレッシャーになって気に病む人もいるようです。
川野:たしかに、表面的な数字にばかり目が向いてしまうと、自分の中に軸がなくなってしまい、当然自己肯定感が下がってしまいます。
もちろん数字は大切なことかもしれませんが、大前提として大事なことは、「よいものをつくり、それを必要としている人に届けること」ですよね。
もし売上の数字ばかりを気にしすぎてしまう場合は、「自分は数字ばかり気にしているな」とまず気づくことが大切です。「気づくことが、承認欲求を手放すための第一歩」なんです。
――たしかにそうですね。もし売上や成績が悪いときに、自分を追いつめすぎないためにはどうしたらいいのでしょうか?
川野:まず、売れるものというのは、内容だけでなく、マーケティングや発売時期、メディアの影響など、いろんな要素が絡んでいます。
つまり、「すべて自分が悪い」というのは、偏ったものの見方というわけです。
承認欲求ループから抜け出すには、「自分が納得できる仕事ができたか」に重きを置くことが大切なのではないでしょうか。