出版業の縮小に対する成功事例は幾つか存在します。以下に、国内外の事例をいくつか紹介します。
1. 講談社(日本)
背景:出版市場の縮小に対応するため、講談社は多様なデジタルコンテンツの配信に力を入れました。
対策:電子書籍のプラットフォームや配信アプリの開発、Webメディアの運営、さらにはアニメや映画などのメディアミックス展開を積極的に行いました。
成果:この結果、書籍以外の分野でも収益を上げることができ、会社全体の利益を維持・向上させました。
2. HarperCollins(アメリカ)
背景:アメリカの大手出版社であるHarperCollinsも出版市場の縮小に直面しました。
対策:デジタルファースト戦略を採用し、電子書籍やオーディオブックのラインナップを充実させました。また、自社のオンライン書店を開設し、直接販売も開始しました。
成果:デジタル製品の売上が増加し、伝統的な出版業務の縮小を補う収益源となりました。
3. Grupo Planeta(スペイン)
背景:スペインでも出版業界の衰退が進行していましたが、Grupo Planetaが成功を収めています。
対策:多角的なメディア戦略を展開し、テレビ番組制作やデジタルメディアの開発、教育関連事業など新しい収益源を確立しました。
成果:これにより、出版だけに頼らないビジネスモデルを構築し、全体の収益を強化しました。
4. Start Publishing(アメリカ)
背景:小規模出版社としての自社を存続するために、多様なコンテンツ戦略を取り入れました。
対策:短編小説、エロティカ、児童書などニッチ市場に特化し、デジタルディストリビューションを重視しました。また、他の小規模出版社を買収し、規模を拡大しました。
成果:ニッチ市場での成功と、M&Aによって成長し、安定した収益を確保しました。
5. Reedsy(イギリス)
背景:新しい作家やクリエイターのためのプラットフォームを提供し、出版の新しいモデルを模索しました。
対策:執筆、編集、デザイン、マーケティングなどのサービスを提供し、作家や自費出版者の支援を行いました。
成果:新たな才能を発掘し、出版業の新しいビジネスモデルとして成功しました。
これらの事例から学べるポイントとしては、デジタルコンテンツへのシフト、ニッチ市場の開拓、多角化戦略、および新しいビジネスモデルの採用が鍵となっています。あなたの会社もこれらの戦略を参考に、時代に合った対応を行うことが重要です。
世界中から先例を探してくれました。メディアミックスや電子事業への注力は日本国内でも主流となっていますね。教育事業への参画や、出版社自体がデザイン、マーケティングなどのサービスを提供して作家や自費出版者の支援を行うといった点は新しいものだと感じました。自社改革のパターンを知るという意味では、そのまま活用できます。小さな出版社でも充分参考になりそうですね。
なお、アイデアを模索している段階であればそこまでの精度は不要かもしれませんが、ファクトチェックの意味も込めて、事例検索には複数AIの利用を推奨します。知らない企業例についてはネット検索で裏取りしてください(今回の例ではいずれも実在する企業のようでした)。
すでに先人が解決に導いている課題であれば、AIに問うことで最適なデータを引用してきてくれます。
とはいえ、ただAIに聞いても最適な事例を出してくれるとはかぎりません。ここでも聞き方が重要になります。この技法のプロンプトでは、古い事例や国内外をまたいだ事例を意識させています。
そして外国語の情報を引用させるとAIが英語で回答を始めてしまう傾向があるため、それを回避する指示文章にしています。
技法その42「国内外の先例」、ぜひ活用してみてください。
(本稿は、書籍『AIを使って考えるための全技術』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。この他にも書籍では、分析、発想、発展、具体化、検証、予測といった“頭を使う作業”にAIを活用する方法を多数紹介しています)