女子高生と中年男性が口論
電車は40分遅れ、900人に影響

 こうした個人のマナー違反にとどまらず、乗客同士のトラブルも大きな問題となっています。実際にSNSやニュースでは、車内で口論が始まり、最終的に駅員や警察官が介入する事態になったというトラブルが頻繁に報じられています。

 2025年2月には、富山県内を走るあいの風とやま鉄道で、走行中の車内で女子高校生と中年男性が口論に発展。車掌らが仲裁に当たったが、すぐには収まらずに約40分遅れで出発。この電車を含む2本を部分運休に、このほか3本が遅れ、約900人に影響が出たというニュースがありました。

 乗客同士のトラブルは、単に迷惑行為という範疇(はんちゅう)を超え、他の乗客や乗員の安全を脅かす見過ごせない問題です。密室に近い電車内だからこそ、個人の行動が全体に与える影響は大きく、互いの配慮がいかに重要であるかを痛感させられます。

肩がドンっとぶつかった…
鬼の形相で睨み合う2人

 ただ、乗客同士のケンカもさりげない仲裁によって事なきを得たという事例もあるようです。一触即発の雰囲気から、ある一言でケンカが回避され、平和が保たれた場面を目撃したAさん(30代・女性)はこう語ります。

「とある金曜日の23時頃のこと、私は渋谷駅のホームで山手線の電車を待っていました。終電間際とあって多くの人でごった返していました。金曜の夜ですし、多くの人がほろよいで、飲み会帰りといった雰囲気です。ホームにほぼ満員の電車が到着し、ドアが開くと、中から吐き出されるように、次々と降りてきます。

 私の前に並んでいたスーツ姿の30代くらいの男性が電車に乗り込もうとすると、電車から降りようとした30代のサラリーマン風の男性に、肩がドンっとぶつかりました。その瞬間『チッ』という舌打ちのような音が聞こえました」

 この瞬間、Aさんはひやっと肝が冷えたと言います。

「お互い鬼のような形相で互いを睨(にら)みつけ、まさに一触即発といった雰囲気。すぐ後ろにいた私も『ああ、これケンカが始まるな。怖いな、怖いな』と、ひやひやしながら成り行きを見守っていました」

 どちらから殴り掛かるのか、お互いが視線をバチバチ言わせているヤバイ雰囲気。しかし、その緊迫した空気を一瞬にして変える出来事が。