欧州株が大人気!アジア太平洋の投資家が「米国より魅力的」と選ぶ理由を解説【投資信託の最前線】

世界の投資マネーが「欧州」に向かう動きが鮮明になっています。2025年の世界の株式ETFの資金フローで欧州株市場への流入が目立つ中、BNPパリバ・アセットマネジメントがアジア太平洋地域の投資家を対象に行った最新調査では、回答者の半数以上が欧州を「長期的な投資機会が最も多い地域」として選択。米国株よりも魅力的との評価が多数を占めました。この世界的な潮流は日本の投資信託市場にも波及。投資家が欧州株を魅力的と捉えるその理由とは?

アジア太平洋の投資家調査で
「長期の投資先」として半数超が欧州株を選択!

 2025年9月6日の当連載「世界の投資家が選ぶのはインドより中国?米国から欧州の流れは世界的な動きに」でも指摘したように、2025年の世界の株式ETFの資金フローを見ると、欧州株式市場への資金流入が目立ってきています。ETFは欧米先進国の投資家の動きが中心ですが、この度、BNPパリバ・アセットマネジメント(BNPP AM)がアジア太平洋地域の投資家を対象に行った調査「Europe Rising: The 2025 Asia Pacific (APAC) Investor Pulse(欧州の台頭:2025年アジア太平洋投資家動向調査)」においても、同様の結果が示されました。この調査は、アジア太平洋地域の4つの主要市場(オーストラリア、日本、香港、シンガポール)において、機関投資家やファンド選定担当者、プライベートバンキング・アドバイザーなど300名の投資専門家を対象に実施されたものです。

 その主な調査結果の抜粋が下の図です。

「長期的な投資機会が最も多い地域は欧州である」と回答した割合が56%と半数を超えています。このほか、下の図にはありませんが、回答者の60%が「米国よりも欧州を魅力的な投資先」に挙げています。

 その理由としては、「欧州で起きている構造改革や欧州再軍備計画、ドイツの5000億ユーロ規模のインフラ投資計画などの財政拡大が、欧州の成長性を高める」との見方が示されています。

 これに加えて、「欧州株のバリュエーションが米国株よりも魅力的である」という要因もあります。調査全体を通じて欧州市場に対するポジティブな見方が多く、欧州資産への関心が再び高まっていることが明らかになりました。

欧州株への期待は世界的な潮流!
日本の投資信託市場でも資金流入が続く

 日本の投資信託市場においても、2025年1~10月の欧州株型の投資信託への資金流入額は、計1000億円を上回っています。ただし、4~8月は月間で100億円を超える資金流入額が見られましたが、9月は+8億円、10月は+28億円と、足元で資金流入は減速しています。これは、年後半に入って米テクノロジー株の値動きが再び堅調になっていることが要因です。

 それでも、欧州株型の投資信託への資金フローは9カ月連続でプラスとなっており、欧州株型投資信託の新規設定も目立っています。そもそも、米国株に大きく偏った資産構成となっているような投資家はまだまだ多いのが現状です。

 このことからも、欧州株型投資信託は、引き続き有力な分散投資先となりそうです。

藤原延介さん藤原延介(ふじわら・のぶゆき)●1998年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。マーケティング部 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応大学経済学部卒。
◆投資信託の最前線
20年超にわたって投資信託動向を分析してきた藤原延介氏が、投資信託の最新動向やニュースを取り上げて、わかりやすく解説! 2024年から大幅拡大したNISAでは、投資信託での運用が不可欠に。でも「どうやって選べばいいの?」「組み合わせ方法は?」などわからない人も多いのでは? このコラムで投資信託の売れ筋やトレンドの変化をチェックすることで、投資信託の選び方や資産運用法などが見えてきます。
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本記事は2025年11月15日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。