
近年、電車内でのマナー違反や迷惑行為が深刻な問題として浮上している。中でも長時間での移動となる新幹線での迷惑行為は他の乗客に大きなストレスをかける。今回は、新幹線の通路を大声をあげて走る子どもと注意しない母親を、嫌みなく「魔法の一言」で鎮めた事例を紹介する。(鉄道コラムニスト 東 香名子)
つばを吐く客、優先席で寝る酔っ払い…
迷惑行為が深刻な問題に
通勤・通学、あるいはレジャーで日常的に利用する電車。誰もが快適に過ごしたいと願うものですが、近年、マナー違反や迷惑行為が深刻な問題として浮上しています。
特に最近問題視されているのが、外国人観光客によるマナー違反。確かに、文化や習慣の違いからくるマナー意識の違いで、意図せず周囲に不快感を与えてしまうケースはあるでしょう。しかし残念ながら、日本人による迷惑行為も後を絶たないのが現状です。
筆者が所長を務める鉄道トレンド総研の調査によれば、「電車に乗っていて迷惑だなと思うこと」のワースト3は「大声での会話」「座席の座り方(詰めない・足を伸ばすなど)」「配慮のない咳(せき)やくしゃみ」でした。
ほかにも、次のような迷惑行為の報告があがっています。
「新幹線内で、横暴な座り方をしたり、唾(つば)を吐き捨てたりする客が目の前に座っていた」(京都府・40代・男性)
「酔っ払いや学生の集団など、大声でうるさく騒がれると耳を塞ぎたくなる。そういう集団は混んでいるなかでも人の流れを遮って平気。注意をすれば何をされるかわからないので、可能であれば他の車両に移動します」(福島県・50代・女性)
「終電間際の電車に乗っていた際に、酔っ払いの男性が優先席で横になり、いびきをかきながら寝ていた。座りたそうにしていた人が座れず、酷い状況でした。楽しくお酒を飲むのは良いですが、酔いつぶれて周囲の人に迷惑をかけるような飲み方はやめてほしい」(神奈川県・40代・男性)
大声での通話、座席を占領するような座り方、泥酔しての迷惑行為など、日本人であっても配慮に欠ける行動が散見されます。
かつての日本の美徳であった周囲への配慮や、「静かに乗る」「譲り合う」といった意識が薄れつつあるのでしょうか。誰もが気持ちよく利用できるはずの場所で、こうした状況が常態化することは由々しき事態です。