春闘2年連続高水準でも「賃上げ格差」拡大、“社会的強者”の賃上げ率が高い原因は価格転嫁力!?Photo:PIXTA

春闘最終集計5.25%、2年連続の高水準
だが賃上げの状況は一様でない

 消費者物価上昇率が3%を超える状態が続いている。このため、名目賃金が上がっても、実質賃金がなかなか上がらない。

 ただし、賃上げの状況は、日本経済のあらゆるセクターで一様であるわけではない。企業規模や業種、そして学歴などによって賃上げ率にはかなりの差がある。

 大企業では名目賃金上昇率が高く、したがって実質賃金上昇率がプラスになる半面で、零細企業では名目賃金上昇率が低く、実質賃金が低下するという状況だ。また、産業別の差や学歴による差もある。

 7月3日に連合が最終集計した今春闘の賃上げ率は、5162組合の加重平均で5.25%となり、33年ぶりの高水準だった昨年の5.10%を上回るとともに2年連続で賃上げ率が5%台を超えた。従業員300人未満の中小企業(組合)も昨年を超える賃上げ率だが、4.65%と大企業よりは低く、実質賃金の上昇率も低い。

 賃上げといっても、大企業や大卒正規社員ら「社会的強者」の賃上げ率が高く、中小零細企業や非正規労働者との格差は大きくなっているのが実態だ。

 こうした規模や産業別、学歴の差は、賃金基本構造調査で見るとよくわかる。