春闘第2回集計「5.40%賃上げ」、前年超えでも“賃金格差”は拡大する⁉︎Photo:PIXTA

春闘賃上げ、最終的には5%台!?
企業規模別の賃上げ率には格差

 3月21日に、連合が発表した大手企業などの今春闘の回答をまとめた第2回集計では、定期昇給を含む正社員の賃上げ率は5.40%と、初回集計(5.46%、14日)に続いて、前年同時期を上回る高い賃上げ率になった。

 最終的な賃上げ率も、昨年並みか、それを以上の5%台の賃上げ率が予想されている。

 だが重要なのは、高賃上げが中小企業などにどこまで波及するかだ。

 第2回集計で中小企業労組の賃上げ率は初回集計の5%を割り込んだ。昨年春闘も高い賃上げ率だったが、2022年以降のこの2年間では、大企業と中小企業の賃金格差はむしろ拡大している。

 なぜなのか。日本の場合、高賃上げを実現しているメカニズムに大きな問題を抱えているからだ。

 政府や日本銀行は、今春闘の順調な滑り出しを日本経済の今後を明るくする要因として楽観的に受け止めているが、賃上げの恩恵を享受できる人は働いている人のごく一部にすぎない。

 これまでの賃上げ過程での企業規模による賃上げ率を分析すると、そのことが明らかだ。

大企業が先行、中小企業が続いたが
賃上げ率追い付かず賃金水準の差は拡大

 以下は、法人企業統計調査の四半期別データを用いて、企業規模別の賃金の状況を調べたものだ。

 金融機関を含む全産業を対象にし、企業規模として、資本金10億円以上を「大企業」、資本金1億円以上10億円未満を「中企業」、そして、資本金1000万円以上1億円未満を「小企業」として分類した。