2025年も折り返し、トランプ関税や世界的な物価高、少子高齢化、移民問題といったニュースが次々と世間を騒がせる一方、新聞やテレビでは見えにくい“真のリスク”が見落とされています。そんななか、「ポジショントークなし」の冷静かつ分かりやすい経済解説をYouTubeで発信し、ビジネスパーソンを中心に人気を博しているのが、元機関投資家のモハP氏です。
「みんなが信じる情報に価値はない」「すべての情報を疑え」という彼の機関投資家思考は、「情報」が生成され続けるAI時代に必須のスキル。同氏初の著書『日本人だけが知らない世界経済の真実』の一部を抜粋・構成し、既存メディアが報じない世界の動きを解き明かします。

世界経済の真実Photo: Adobe Stock

メディアの衰退が情報格差を生む

「インフルエンサーは取材を全く行わず、どこかのメディアから得た情報を元に自分の意見を述べているだけではないか」「取材は新聞社にしかできないのではないか」という議論があります。これは非常に重要な論点であり、SNS対オールドメディアという構図の中でよく出てきます。

 確かに、インフルエンサーの大多数は取材を行っておらず、オールドメディアが伝えた情報を元に自分の意見を話したり、あるいはそれすらせずに、どこかのメディアで流れた情報をそのまま話しているだけの人も多くいます。ほとんどのインフルエンサーが取材を全く行わないというのは事実です。

 しかし、だからといって取材をしている新聞記者が素晴らしいという話ではないと私は考えています。私はSNS対オールドメディアという構図でどちらかを否定しようという立場ではありませんが、単に取材をすればよいということではないと思います。

 たとえば、金融担当の新聞記者は日銀の金融政策決定会合後の日銀総裁の会見に取材に行きます。その記者会見で手を挙げて「〇〇新聞の誰々です」と名乗り、「今回の利上げに名前をつけるとしたらどんな名前をつけますか」などと質問します。これは日本を代表する経済新聞の記者ですが、このような取材に行く意味があるでしょうか。

 つまり、取材をすればよいということではないのです。この記者に限らず、「本当に現場に行った意味があったのか」と問えば、わざわざ取材に行く必要がなかったのではないかというケースの方が多いのが実情だと思います。